同じ職業の仲間内で用いられ、一般では通じない単語や言葉を「業界用語」と言います。
医療業界においては、この業界用語が非常に多いと感じています。
そもそも医学はドイツが先進国であったために、ドイツ語起源のものが多いですね。
わたし自身、当初は「ヘモ」の意味も全く分からず、「ヘモグロビン?」と思ってましたし、
「カイザー」を「開山?」だと思っていました。
わたしの知り合いはもっとひどく、「MR」のことを「エマール」(洗剤)だと思ってました(笑)
また、医療業界では「MR」のことを「プロパー」という人もいますが、
一般業界においては「生え抜き社員」のことを意味しているので、正直ややこしいです。
これらの単語は先生とお話ししたり、同僚に聞いたり、医療小説を読むことで、
なんとなく覚えてきましたが、今でも分からないことだらけです。
先日も先生から「僕はCVのスキルを身に付けたい」とお聞きしたのですが、
その場では意味が分からず、なんとなく相槌を打っていましたが、
単語の意味が分からないと会話が通じないので、今後はその場で聞こうと思います。
わたしは以前、製造業に勤務していた経験があるのですが、
特に工場においては独特な用語が飛び交っていました。
まず、入社してすぐに覚えさせられたのは、「5S」という言葉。
いまでは結構一般的になっていると思いますが、完全に答えられる人は少ないでしょう。
「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」の5つの頭文字で「5S」です。
また、「KY」といえば一般的には「空気読めない」ですが、工場では「危険予知」です。
「危険予知活動」を「KYK」といって、張り紙に書かれていました。
(けっして「トンカツ屋」の名前ではありません)
他には、短時間機械が停止することを「チョコ停」といいました。
(ちょこっと停止を略しただけです)
これの対義語が「ドカ停」(どかっと停止)です。
オヤジギャグのような単語ですが、これが製造業界では共通用語なのです。
工場であれば、大体どこに行っても通じるから面白いものです。
しかしなんといっても、最も代表的な言葉は「ヒヤリ・ハット」です。
「ヒヤリ・ハット」とは、一瞬ヒヤッとしてハッとするような小さな事故のことです。
しかし、これを馬鹿にしてはいけません。
結果として事故に至らなかった小さな事故でも、それが重なるといつか大きな事故が起こるため、
「ヒヤリ・ハット」の事例を集めることで、重大な事故を予防できます。
そのため、作業現場などで各個人が経験した「ヒヤリ・ハット」の情報を共有することが、
工場におけるルーチンワークとなっています。
実は、このルーチンワークの根拠になっている法則は「ハインリッヒの法則」です。
この法則は「重大事故の陰に29倍の軽度事故と、300倍のニアミスが存在する」というもので、
統計学的にも実証されており、医療事故の防止にも役立てられています。
「ゴキブリ1匹いたら100匹いる」みたいなニュアンスに近いと思います。
何事も諸悪の根源を絶たないとダメだということです。
日頃から、些細なことにも気を付けるようにしましょう!