スポーツマンは「勝負師」であれ

 

2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会が終了しました。

結果は、延長戦の末、ドイツがアルゼンチンを1-0で制し優勝を決めました。

ロースコアな神経戦が好きなわたしとしては、非常に良い決勝戦だったと思います。

 

今回のワールドカップが始まる前、

日本は攻撃型のサッカー(ポゼッションサッカー)を目指すと豪語し、

しきりに「自分たちのサッカー」という言葉が使われていました。

 

 

今更ですが、この「自分たちのサッカー」という言葉には違和感を感じます。

 

 

なぜなら、スポーツにおいて自分の思い通りにプレーができる状況は限られています。

自分の思い通りにプレーができる時間帯とは、いわゆる「ゾーン」に入る瞬間なのですが、

スポーツ選手はゾーンに入れば無意識にスーパープレーを連発します。

そのため、できるだけ早くゾーンに入れるよう日々鍛錬を積んでいます。

 

しかし、試合中にそのような状況に入れることは滅多にありません。

なぜなら、対戦相手は敵をゾーンに入れさせないために、

ありとあらゆる神経戦を仕掛けてくるからです。

 

ということは、ほとんどの時間帯は自分のプレーができない訳です。

そんな時間帯に何をすべかというと、とにかく相手の長所を消すべく弱点をつきまくるのです。

要するに、対戦型スポーツとは相手が嫌がることをやり続ける嫌らしいゲームなのです。

 

実力が圧倒的に相手よりも上回っていれば、自分のプレーをすることに集中すれば良いですが、

自分の方が劣っている場合はもちろんのこと、力が競っている場合は守備的にいくことが常道です。

(今回のワールドカップで日本のランキングは32チーム中29位だったので明らかに弱者です。)

 

そもそも、ワールドカップとは代表チームのナショナリズムの戦いです。

だから普段サッカーに全く興味のない「にわかサッカーファン」までお祭り騒ぎをするのです。

単なるエキジビジョンマッチではなく、国と国が威信を掛けた戦いの場なのです。

 

そんな状況において「自分たちのサッカー」などさせてもらえる訳がなく、

できるだけ負けない戦い方をしなければならないのです。

相手の良い部分を潰し合うのが戦いの鉄則なのです。

 

ワールドカップは予選リーグのグループステージと決勝リーグのノックアウト方式がありますが、

グループステージといえども初戦の結果でほぼ予選突破の可能性が決まります。

決勝リーグに至ってはもはや一発勝負であり、最悪0-0PK狙いでも良いのです。

 

そのため、これまでワールドカップで優勝したチームは全て失点が少ないチームです。

(今回優勝したドイツも失点が最も少ないチームでした。)

とにもかくにも、ワールドカップとは1点が非常に重い大会なのです。

 

 

当たり前のことですが、ワールドカップで勝ち進むためには、

まずは守備を固めることが重要です。

 

 

これはサッカーだけに言えることではなく、ほとんどのプロスポーツで言えることです。

勝率を上げるためには失点しないことです。

 

突然野球の話になりますが、かつて常勝チームだった中日の落合監督は守備重視の考え方でした。

落合監督の7年間は「1位、2位、1位、2位、3位、2位、1位」と、抜群の成績です。

しかし、ロースコアな野球は観客にとってつまらないという理由で解任されてしまいました。

そして、落合を首にした翌年から中日の成績は下降線を辿り、観客は更に減ってしまいました。

 

野球はピッチャーが試合を作りますが、防御率を上げるためにはバックの守りは非常に重要です。

打線は水物という言葉もありますが、攻撃は予測が立てにくく運に左右されることが多いです。

しかし、守備にスランプはありません。

となれば、勝つためには守備を強化した方が確率が上がります。

点を取られなければ負けない。

非常に単純明快な論理です。

 

 

また、ワールドカップはナショナリズムの戦いと書きましたが、

サッカースタイルはその国の国民性やサッカーの歴史が色濃く関係してきます。

日本が対戦したコロンビア、ギリシア、コートジボアールは三者三様のスタイルがあります。

 

コロンビアは南米特有のリズムのある攻撃が持ち味で、パスワークも個人技も優れています。

ギリシアは典型的な堅守速攻型のチームで、長身のディフェンスを活かした超守備的サッカーです。

コートジボアールはアフリカ系なので、身体能力の高さを活かした個人技で攻めてきます。

 

 

では日本のサッカースタイルとは?

 

 

日本の目指すべきサッカースタイルは未だ定まっていないと思われます。

その原因のひとつは、監督がコロコロ代わるからです。

しかも、その監督の国籍も毎回変わります。

監督が代わるたびに戦術が見直され、代表に選出される選手の特性も変わります。

これでは、日本固有のスタイルを定めることはできないでしょう。

 

今回ベスト4に残った国の監督は全て自国出身です。

ちなみに、優勝国ドイツのレーヴ監督は2004年に代表のヘッドコーチに就任し、

2006年のドイツ大会終了後にクリンスマンからバトンを受け継ぎ監督となっています。

ということは、足掛け10年、ドイツ代表の強化に携わっていたわけです。

 

世界の強豪国ですらこの体制なのですから、

異国から来た監督が4年という短期間で代表チームを作ることなど土台無理な話です。

日本の次の監督はメキシコ出身のアギーレ氏(55)と言われていますが、

日本人から監督を選ぶ余地はなかったのか気になるところです。

(個人的には宮本恒靖(37)あたりに10年スパンでやらせてみたら面白そうな気がします。)

 

ただし、このアギーレ氏の戦術は守備的であり、

スター選手を特別扱いしないという部分は好感が持てます。

(今回のザックジャパンではスター選手を特別扱いしすぎたと思うので。。。)

 

とにかく、ワールドカップで勝ちたいなら、まずは守備を強化すべきだと思います。

日本人はメンタルが弱いので、失点すると一気に勢いが無くなります。

だから、序盤で先制点を奪われてはいけないのです。

 

外国人監督に期待したいことは、

戦術を決める上で日本人特有のメンタリティも考慮して欲しいということです。

かつて代表監督を務めたジーコが言っていました。

「日本は失点すると精神的に浮き足立ってしまう。これが日本の欠点だ」

「きっと国民性なのだと思う。」

「他の国では考えられないのだけど、なぜか失点に対して過剰な恐怖感や失望感がある。」

 

このことは戦術を決める上ではフィジカルやテクニックよりも重視すべきポイントだと思います。

日本人は真面目すぎるので、一度落ち込むと、すぐに立ち直れません。

ということは、できるだけ失点しない守備的戦術を選んだほうが良いのです。

 

 

という感じで、今回のワールドカップについて一方的に私見を述べさせていただきました。

同意できない方はごめんなさい(笑)

 

 

言いたかったことは、

ワールドカップは勝負事であるということ。

勝負事においてカッコイイ勝ち方なんて必要なく勝てば官軍であるということ。

勝負事はメンタルが非常に重要であるということ。

 

 

“サッカー日本代表はスポーツマンであると同時に「勝負師」であれ”