“お祭り”の楽しみ方は人それぞれで

ドル円相場は震災後の急激な円高以降、しばらくの間ドルが上昇(円安)した後、
ここ1か月ほどは米国市場の株安などを受けてドルが売られてずるずると下げ続けてきました。
日本時間の5日夜には一時、またしても80円を割り込むという激しいドル安・円高です。
でもそんななかで翌6日夜に発表された米雇用統計の結果、こんどはドルがぐっと上向きました。
上のチャートの右側、7日のちょっと手前で線が飛んでるところです。
ただご覧の通り今回は、そのままドルが買われ続けるかというとそうでもなく、
なんだかいまひとつ方向感の定まらない状況のなかで一進一退、ちょっと目が離せない展開になっています。
米雇用統計という言葉は経済ニュースでよく耳にしますが、一応あらためて説明しておきますと
米労働省が毎月第一金曜日の午前8時30分(現地時間)に発表する統計結果のことで、
就業者数や失業率など、経済の動向を読むために重要な指標が月に1回、公にされるわけです。
日本時間だといまは夏時間(4月~10月)ですから午後9時30分の発表ということで、それが今月は6日の夜。
毎回、特に注目されるのは非農業部門の就業者数と失業率です。
今回は失業率が若干の悪化にとどまる一方、非農業部門の雇用者数が前月比24万4000人増となったことを受けて、
ドルの急上昇が見られました。
米雇用統計の発表は、FXトレーダーの間では、”月に一回のお祭り”とさえ言われている一大イベント。
何十万人というトレーダーがPCやケータイやスマートフォンの画面をにらみながら固唾をのんで発表を待ち、
発表と同時に次の一手を打つわけです。
ある意味、なかなか荘厳な光景とも言えるのではないでしょうか?
この時期を狙って多くのトレーダーたちが集中的に売買を行いますし、中にはこの時期しかトレードしないといった人もいるほどです。
たとえば相場が必ずどちらかに大きく動くと踏むなら、どちらに動いても儲かるような仕組みにしておくことも、
うまくやればできそうな気がするから怖いですね(笑)
雇用統計発表直前の為替相場が1ドル=80円だとすると、「80円20銭までドル高が進んだら買い」、
「79円80銭までドル安が進んだら売り」(逆指値注文といいます)という注文を組み合わせて同時に出しておくわけです。
指標の発表後に、仮にドル高に進んで前者の注文で利益を出せそうなら後者の注文を取り消すなど、工夫しだいですね。
でもこの時期というのはFX会社へのアクセスが集中するためにログインできなくなったり、
サーバーが突然停止したりという事態になることもあるそうですから、
そうなるともう、あまり結果にこだわりすぎるよりも、お祭りだと割り切って付き合ったほうがいいかもしれません。
踊る阿呆に見る阿呆と言いますが、
お祭りですから、まあ人それぞれの楽しみ方があっていいんじゃないかと思います…。
※当ブログの目的は、投資に関する話題の提供であり、投資勧誘ではありません。
また、記載した情報はweb上で公開されているものですが、実際に投資される際には
あらためてご自身でご確認ください。
投資はあくまでもご自身の責任と判断でされるようお願い致します。 

経験則

イースター休暇というのは多くの日本人にとって(もちろん僕にとっても)あまりなじみのないものですが、
キリスト教圏の国々では復活祭は、年中行事のなかでもとても重要なイベントなのだそうですね。
クリスマス休暇と並ぶ長期休暇ということで、ほとんどの会社が休みになって
みんな故郷の家族の元に帰ったり、バカンスを楽しんだり、のんびり過ごす時期だとのこと。
それで、イースター休暇の前後の外国為替の取引は薄商いで方向感がなくなると言われていて、
FXトレーダーたちの間ではこの時期、下手に大きな売買はせずに様子見ムードになる傾向が定着しているようです。
一方、日本国内においては、実はこの連休の合間の時期の株価が、
なかなか興味深いことになっているのをご存じでしょうか?
日経平均株価を算出・運営している日本経済新聞社インデックス事業室が、
過去のデータを集計して作成した資料を書籍にまとめているのですけど、(『日経平均公式ガイドブック』)
それによると、5月1日と5月2日の2日間は経験的に、株価が上昇する確率がかなり高い日なのだそうです。
1949年5月17日から2010年7月31日までの日経平均の上昇と下落の回数を
日付ごとに集計してランキングにしたのが上の表です。
見ると確かに、その日に株価が上昇する確率の高い方から並べた結果は、
5月1日と2日という日は、1年365日あるうちの何と2位と4位。これはなかなか驚きですね。
とくに理論として説明できるような根拠はないらしいのですが、
過去のデータを集めるとどうやら経験則として一定の傾向が見られるというわけです。
以前にも書きましたが、
“アノマリー”と呼ばれるこのような経験則は、確率の世界で投資を考えるときには
なかなか参考になりますよね。結果としてそれが役に立つならば、根拠はどうだっていいわけです。
東京オリンピックの開会式が10月10日に行われたのは、過去の天気の蓄積データの中から
晴れる確率の最も高い日を選んで決められたというのは有名な話ですよね。
逆に、今度は株価が上昇する確率の低いほうを見てみましょうか。
なんと5月中旬の日付が、20位以内に4日も入っています。
ことしのこの時期がどうなるかにも、ちょっと注目してみたいですね。
なんだか”マーフィーの法則”を思い出してしまいました…。
“トーストのバターを塗った面が下を向いて落ちる確率は、カーペットの値段に比例する”
“急いでいないときは、車が完全に停止したとたんに信号機は青に変わる”
“気のきいた文句をひらめかせる最良の方法は、手紙に封をすることである”

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勢い。

以前もここでご紹介した投資家のジム・ロジャーズ氏について、
先日(4月16日)、朝日新聞に写真入りの記事が大きく掲載されていました。
「3.11 投資家の目」ということで、震災後の日本についてインタビューに答えた内容が、「オピニオン」として取り上げられています。
ご覧のとおり1ページの紙面の半分以上を割いていますし、ブログやツイッターなどでも
多くの人がこの記事についてコメントしたりつぶやいたりしていて、あらためて反響の大きさがわかります。
その記事では、まず震災が日本経済に与える影響について、ロジャース氏が短期的な影響は出るとしながらも、
やがて再建に伴う建設ブームが起きて、かつてない需要が生まれることが期待できると言っていることを、
わりとさらっと流しています。
インタビューはその後に続けて、日本が再び成長軌道に乗るために最も大切なこと、という
本質的なほうへ水を向けていて、
実は記事としてはここからがメインで、震災とか復興云々というよりも、
むしろ日本に対するかねてからのロジャーズ氏の持論を紹介するような形になっています。
氏のコメントは単純明快です。日本の成長に必要なのは、
 ・子供を増やすこと
 ・移民を受け入れること
つまり大ざっぱにいえば、人口減少で収縮気味の経済を、人を増やすことで元気づけるといったイメージでしょうか。
さすが世界を股にかけて駆け回ってきた冒険家。分かりやすいといえば分かりやすいですね。
そして、
 ・日本は今後も製造業に頼り続けるのは難しい
 ・強い円は歓迎。円高は日本国民を助ける
…日本国内の経済評論家などからは、なかなか出てこないコメントですね。
ロジャーズ氏が多くの日本株を保持していることはよく知られていて、このインタビューのなかでも
「私は本当に日本を愛している」と強調した上で、
「日本はいずれ子供を持ち始めると思うから、タカラトミーやサンリオの株も持っている」ことを明かしています。
でも日本が本当にそんなふうに、子供を増やすような国になるんだろうか?と僕は思ってしまいましたが、
記事中のロジャーズ氏のコメントも、日本の人々の考え方がそのように変わることについて
「懐疑的ではある」が、「そう願っている」と、ちょっと弱気で中途半端な締めくくり方をしていました。
実際に日本がどうなるかは別として、僕なりに面白いなと思ったのは、
ロジャーズ氏の感性というのは結局、人間の生命力というか、勢いというか、そうしたものに対して
おそらく素直に反応しているのだろうなと思えたことでした。
そもそも投資だとか資産運用というのは、ここよりもどこか勢いのある元気のいいところにおカネを預けて、
その人たちが活動して儲けた分を、預けたよりも殖やして返してもらいましょう、という行為なわけです。
ファンドマネージャーという仕事をしている人たちは、言ってみればその”勢い”を、冷徹に見極めるのが仕事、
といってもいいかもしれません。
“勝ち馬に乗れ””当たり屋につけ”とは、
勝負師たちの間で昔から言われている言葉ですね。
ぜんぜん話は変わりますが、僕の家の近所にいつも行くラーメン屋さんがあって、
おばちゃんとその弟さんだけでやってるそのラーメン屋さんはカウンターだけで6人座ればぎゅうぎゅうの満席という
こぢんまりとしたお店です。
日高屋とか王将も近くにあって、そちらも確かに安くて美味いのですが、
なぜか僕はお酒を飲んだ帰りについつい足が向くのはこのおばちゃんのお店のほうでした。
トンコツ系やら魚介系や横浜家系(いえけい、と読みます)などが駅前にどんどん出店するのを横目に見ながら
流行とは無縁にもう30年以上マイペースでやってきたという、いわば街の老舗です。
もともと、縮れた黄色い太麺はどちらかというと柔らかめだし
スープはとくにこれといった印象が残るわけではない古典的な醤油味で、
目新しさやインパクトはないのですけど、でも僕にとっては、
長年守ってきたなんでもないふつうの味が、なんとなく落ち着くのでした。
僕はそこで酔いを醒ましながらおばちゃんとよく話をするのですけど、
でも最近行ったときは、おばちゃんいわく、震災以来すっかりヒマになってしまって、
このままではこの先とてもやっていけそうにない…そう嘆いていました。
たしかに最近、なんだか味に勢いがなくなってきたように感じていて、
気がついたらすこし足が遠のいていたなあなんていうことに気づいてしまったのですけど。
いつものとおり、また来るね、と言って僕は店を後にしましたが、
時間というのは思っていたよりも冷酷に、人から勢いを奪っていくものなのかもしれないなと感じさせられたのは、
ちょっと寂しいことでした…。
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基本は定点観測

かつて証券会社の店頭窓口に「日経平均を買いたいのですが…」というお客が来たという話は、
証券マンの間では笑い話のネタにされていたものです。
今でこそETFなど指数連動型の金融商品の取扱が普通に行われるようになって、
「日経平均を買う」ような感覚は個人投資家でも当たり前になってきていますが、
こうした商品が登場する以前は、株価指数への投資はプロの世界に限られていたものでした。
日経平均株価の算出が始まったのが1950年。もう60年以上にもなる歴史のなかで
ETFはここ十数年の間に急速に広まったわけですから、
日本ではまだつい最近始まったばかりと言ってもいいかもしれません。
ETF(Exchange Traded Fund)というのは取引所で取引される投資信託という意味で、
つまりは株のようにいつでも売買することのできる投資信託ということです。
取引所に上場されているので取引時間中なら個別株のように何回でも売買できて、
また個別株への投資に比べて少額の資金で始められるという点が個人投資家にとっては嬉しいメリットですよね。
しかも、いわば複数の銘柄にまたがって投資をするわけですから、
銘柄を選ぶ手間もなく、かつリスクを分散した投資にもなっているという言い方もできますので、
とくにネットでのトレードが普及した今、初心者が投資を始めるのにぴったりだという人が多いのもうなずけます。
そのETFがここ最近、売買高をぐんと伸ばしています。
震災後の先月14日~18日にかけて日本株ETFに過去最高の資金が流入したことは前にも少し触れたとおりですが、
東京証券取引所の資料でこの1年間の推移を見ても、ぐっと右肩上がりになっているのがよくわかります。
震災の影響もあって、この3月の一日平均売買代金は180億円超。
売買高が約1632万口ということですから、いずれも過去1年間では突出していますね。
ちなみにETFの本場アメリカで取扱いが始まったのは1993年で、日本より10年近く前ということになりますが、
その規模はケタ違いです。
いま日本で上場されているETFが約120本なのに対してNYSEユーロネクストに上場されているのはなんと約1150本。
一日の売買代金も普通に数兆円に上るのだそうです。
これが10年の差ということなのでしょうか?
こと金融に関しては日本はアメリカに追随してきていますので、
ETFについても、日本はこれからさらに売買高を伸ばしていくのではないでしょうか?
しかもアメリカで最初のETFである「SPDR(スパイダー) S&P500 ETF」という商品が先日(3月24日)、
東証に上場されて、日本人投資家の注目を集めています。
これはアメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動するETFで、
純資産総額が約934億米ドル(約7兆6千億円)。
といわれてもちょっとピンときませんが、とにかく桁違い。世界最大のETFなわけです。
“寄らば大樹の陰”が大好きな日本人ですから、おそらく、
これからもっともっと売買高を伸ばしていくことでしょう。
このETFを買うとなるともちろん、S&P500指数の日々の動きには最低限チェックを怠らないようにする必要があります。
S&P500指数は日本でいうなら日経平均だとかTOPIXだとかにあたるもので、
NYダウと並んで広く報道されていますから、
もし気になった方がいらしたらまずはこれを定点観測するというあたりから始めてみましょうか…。
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金庫にもひと工夫

久しぶりに週刊誌を買って読んだのですけど、「週刊文春」4月14日号の巻頭ページには、
被災地での震災泥棒の記事が載っていました。
瓦礫のなかで金庫を開けようとしている場面から通報を受けて駆け付けた警官に取り押さえられるまでの一部始終…。
少年の犯行のようですので写真に目隠しがしてありますが、見開きページに4枚の写真で紹介されています。
被災地で泥棒をするような奴はその場で撃ち殺してしまえばいいと北野武もTVで怒っています。
http://www.youtube.com/watch?v=ZDS6Q9wFzwM&feature=player_detailpage
まあほんとうにひどい人もいるものです。
が、一方では、さすが日本というような話も金庫関連の記事で見つけました。
持ち主を特定できない金庫が、岩手などの警察署に続々と届いているという記事がasahi.comで紹介されています。
これなんかは日本人の道徳観を世界に向って大いに誇りたいところですよね。
日本では落し物が無事に帰ってくるという話を外国人が聞いて驚いたという話は
何度か耳にしたことがります。
それで、金庫です。
国内の主要金庫メーカーは十数社あるらしくて、
それらの商品は”金庫屋”という通販サイトでいろいろと比較しながら見ることができます。
資産運用には余計なお世話かもしれませんが、大切な資産を本気で守ろうとするのであれば金庫は意外と重要です。
防犯対策、防火対策も含めてしっかりしたものを揃えたほうが安心できますね。
なかでも強化型金庫というのが9万円台から十数万円程度で出ていて、
盗難防止のためにということでは重量が200kgとか300kgとかあるのもあります。
これなら屈強な男性二人がかりでもそう簡単には持ち出すことができないでしょう。
あと、安全規格は耐火、耐衝撃などの基準がいろいろとあり、
国内では良く知られているJIS規格や、その他にもETL SEMKO社や
UL(Underwriters Laboratories)の認定を受けたものは信頼性が高いといえそうです。


(金庫屋のサイトを元に作成)
金庫にもけっこういろんな試験があるものなんですね。

ETL SEMKO社は、トーマス・エジソンが「電球」の試験をしたElectrical Testing Laboratories(ETL)と
欧州で長年試験認証を行ってきたSEMKOが合体した機関。
現在、イギリス本社を中心に520以上の事業所と280カ所の試験ラボを保有していて、
従業員は12,900人を超えるという、世界最大の試験認定機関とのことです。

ULとは米国火災保険業者組合により創設された非営利試験機関で、
金庫は30分間とか1時間とか2時間かけて焼却して、それでも金庫内の貴重品を完全無傷のまま保存していたものに
認証が与えられるようになっているのだそうです。

また、日セフ連というのは日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会といって、鋼製家具類の製造・販売を等を行う事業連合会で、
金庫のJISに関する共同研究を行っている組織です。

まだちゃんとした金庫をお持ちでない方は、ひとつご参考にされてはいかがでしょうか?
あと、今回の震災の教訓としては、万が一、津波で流されたりした時のために、
金庫の表面に住所氏名などを書いておくか彫っておく等の工夫も、必要かもしれないですね…。
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