隕石が落ちても大丈夫なリスク管理

日経平均が10000円の大台を越えて、やや明るいムードを取り戻してるような感じもしますが、
この流れはこのまま続くと見ていいのでしょうか?
「日経ヴェリタス」7月10日号には、「ニッポン買っているのは誰だ」と題して、
上場企業の大株主のトップ10が紹介されています。
これによると、上位3位までが、いわゆる株式保管銀行ですね。
「財務大臣」はつまり日本国政府で、
残ったうちの5件はおなじみの国内大手企業です。
最後の1つ、異彩を放つのが8位の「OD05オムニバス」。
これが何かというと、正式には明かされていないようなのですが、
どうやら中国の政府系ファンドらしいと言われているのです。
中国政府系ファンド…。
ネットで調べてみると、東洋経済ではもう1年も前から注目していたようですし、
週刊現代、週刊実話にいたるまで、すでに記事として取り上げられていたんですね。
知りませんでした。
ナゾの”チャイナ”ファンド「SSBT OD05 Omnibus China Treaty 808150」
東洋経済大株主データで分かったその「真実」――優良企業に次々出資
(東洋経済オンライン10/07/21)
去年の3月まではファンド名に”China”が入ったいたらしいです。
記事によると、2007年後半から数社の有価証券報告書に顔を出すようになったとのこと。
2010年7月9日時点で、当時保有が判明していた98社の保有総額は約1兆2192億9000万円。
「さまざまな地域からの資金の流入を分析していく必要がありそうだ」
と、記事はわりと穏やかな結び方をしていますが、
これが、半年後の週刊現代になると…、
徹底調査! 
中国に買われた「日本の一流企業」86社
あの国には明確な狙いがある
時価総額で1兆5000億円
(「週刊現代」2011年01月25日)
ここでは、買われている企業側がとくに脅威を感じていないことを取り上げて、
「この警戒心のなさを、いずれ後悔することがないといいのだが」
と、やや危機感を煽るニュアンス。
さらに半年後の週刊実話では…
水利権・不動産をしゃぶり尽くす
東電を標的にした中国政府系ファンドの黒い魂胆
(「週刊実話」2011年6月23日 特大号)
OD05オムニバスが震災後の株安に乗じて東電の第8位に躍り出たことに目をつけて、
「赤いハゲタカとなって東電の資産をとことん食ってしまう」
…こうなると、けっこう被害妄想的な感じが入っちゃいますね。
真っ黒な髪の毛をツヤツヤの整髪料で固めた恰幅の良い中国人が、
脂ぎったおでことべっ甲のメガネを光らせて、
20年物の老酒を啜りながら日本企業の乗っ取りを画策するイメージでしょうか(笑)
実際、大衆紙が書き立てるほどに当の中国側が戦略的にやってきているかどうかはわかりませんが、
日経ヴェリタスによれば2011年3月末の保有額は2兆5289億円。
数字や報道で見る限り、中国マネーの勢いはやっぱり驚異的です。
でもここまで来ると、末期症状という感じもしてきますね。そろそろ潮時かなと。
かつて三菱地所がマンハッタンのロックフェラーセンタービルを買収して
ニューヨーカーから大顰蹙を買ったのを思い出しませんか?
あれはバブル末期の1989年10月のことでした。
2カ月後の12月末につけた日経平均株価3万8915円を最後に、株価は暴落していき、
翌年の秋には約半分に。さらに5年後、ついに運営会社は破産…。
中国が日本と同じ道をたどるとは限りませんが、
今ままの勢いがずっと続くとはとても思えないです。
中国バブルが弾けると、どうなるのでしょう?
もちろん、少なからず僕らの資産運用や、ひいては日常生活にまで影響が出てくると思います。
でもプロの間でも予測は難しいみたいですね。
たとえば為替に関しては、リスク回避で急激な円高が来るという説もあれば、
ドルが買い戻されるから円安に振れるという意見もあります。
あるエコノミストは「隕石が落ちるようなもの」という言い方までしていて、
つまり陸地に落ちれば大地震でしょうし海に落ちたら大津波でしょうし、
それこそ原発に直撃なんかしたら、僕らはどのように対処すれば良いのでしょうか?
隕石が落ちても大丈夫なリスク管理って。
うーん、せめてなるべく遠くに落ちてくれるように祈ろうと思います…。

※当ブログの目的は、投資に関する話題の提供であり、投資勧誘ではありません。
また、記載した情報はweb上で公開されているものですが、実際に投資される際には
あらためてご自身でご確認ください。
投資はあくまでもご自身の責任と判断でされるようお願い致します。 

“1位”じゃなくても

中国新幹線が開通して、またひとつ中国の躍進ぶりが世界にアピールされました。
北京-上海間を最短4時間48分で結ぶ、中国の夢の高速鉄道。
時速350kmの営業運転は世界一、一度に建設した長さ(1,318km)としては世界最長だそうです。
同じ日、山東省では全長41.6キロの青島膠州湾大橋が開通しました。
高架橋を除く水上に架かる橋梁としては世界最長だそうです。
すごいです。向こう側が見えません。
(空気が汚れているせいだという意見もありますが…)
これも同じ日、総延長約8700kmのパイプラインで天然ガスを輸送する「第二西気東輸」プロジェクトが操業を開始しました。
やはり世界一だそうです。
8700kmといえばフルマラソンを200回完走しても届きません(笑)
まさかと思って調べてみたのですが、
なんと、そういう信じられない人が日本にも何人かいるんですね……驚きました。
それはさておき、何かと中国の世界一が話題になっているので、wikipediaから拾ってみますと、
やはりというか、
ビルだとか橋だとかトンネルといった、工業技術を誇示するような建造物が目立ちますね。
もっとも鮑喜順氏は、建造物ではないです…。
最近のニュースだと、世界贅沢品協会(そういう協会があるのですね笑)が先月、
「2012年にも中国は日本を抜き、世界一の贅沢品市場になる」と発表していたそうです。
日本が今だに1位だったというのも、驚きですけど。
ところで、昨年末のことですが、金融情報などを提供するウェブサイト、ビジネス・インサイダー(BI)には、
中国内陸部で建設中の都市を撮影した衛星写真が掲載されました。
これは内モンゴル自治区内のオルドス市郊外につくられた新しい街ですが、
700億円を投じた総面積32平方キロメートルの高級住宅地には入居者がほとんどおらず、
中国最大の無人都市として知られるようになりました。
こちらは河南省鄭州市に1500億円の開発プロジェクトで建設された街。
ほとんど誰も住んでいないそうです。
…もうバブルの産物としか言いようがないですね。
これらは、僕の見立てですと、まぎれもなく世界一の無駄遣いの部類に入ります。
日本のスーパーコンピュータが世界1位になったのは嬉しいニュースでしたが、
いまの中国を見ていると、何でもかんでも1位じゃなくてもいいような気がしてきました。
中国への投資を考えるときも、バブル崩壊の足音には耳を澄ませておかなければなりません。
もちろん世界一になる必要はないですね。
あくまでも、安全で確実な方法を選びましょう…(笑)
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そして、チャイナリスク

中国からのレアアースの輸出が滞っていた問題で、
どうやら改善の兆しが出てきたとのニュースが報じられました。
レアアースはMRIの強力な磁場を作り出すところで使われているそうですね。
燃料電池や携帯電話をはじめとするいろいろな先端機器にも不可欠のようです。
それを世界で自国だけが9割以上を生産しているとなれば、
中国ならずとも、国家戦略として利用しない手はないです。
でもたしか当初、中国政府はこの問題についての関与は
否定していたはずだったと思いますが…?
今頃になって”税関への管理監督の強化”があったことを認めるような発言をするわけですから、
本当に中国の外交戦略は”虚々実々”という感じがします。
前回、人民元切り上げについてすこし触れましたが、
これも中国の国家戦略上の、まさに虚々実々の政治的な駆け引きが
繰り広げられてきたテーマですね。
人民元はリーマンショック以降のしばらくの間、自国の産業を守るために
事実上の固定相場制をとってきたわけですが、これはちょうど同じ時期に
円高が進んで国内の産業がますます厳しい状況に追いやられた日本とは対照的です。
チャートだと2008年半ば頃からの約2年間、ほぼ水平になっているところがそれです。
たしかに、ここだけ上昇が止まっているのは見るからに不自然な感じがしますよね。
この間、安い中国製品が世界中に出回ることで中国国内の経済成長が実現されて、
いまや中国人富裕層が世界中の観光地にあふれているのはご存じのとおり。
これにはさすがに海外の諸国からの圧力も強くなって、
人民元はことし春頃から切り上げがささやかれていました。
それがこの6月になり、ようやく中国側が、緩やかなレートの上昇を認めたわけですね。
ただ、切り上げ要請に応じたというほどではなく、実質的には
いまでも為替レートは中国人民銀行が1日の変動幅を基準値から上下0.5%以内に管理しているので
小幅な動きならまあしょうがない、受け入れざるを得ないですね、という程度のスタンスです。
でもその後も各国からの圧力は強まってきて、先日の米中会談でのオバマさんの様子なんかを見ると、
のらりくらりとした中国の政策ももうそろそろ限界に近づいているように思えてきますが
どうでしょうか?
中国国内でも景気過熱を抑制する方針が打ち出されていますので、
対外的にも国内的にも、いくら戦略国家・中国といえども
いい加減に潮時がきたのではないかと。
今の人民元を、1985年の日米プラザ合意直前の日本円と重ね合わせている人もけっこういるみたいですね。
なにしろ当時の円は、その後の3年間で1ドル240円から120円にまで急騰したのですから、
人民元にも同じことが起こるとしたら大変なことになります。
僕はそこまで期待するのはどうかとは思いますが、
まあそれでも、リスクを最小限にする中国投資という点では、たしかに人民元は”買い”かもしれません。
ただ、人民元での資産運用にはひとつ難点があります。
それは人民元が国際通貨として流通していないということです。
つまり中国国外で人民元の資産を持つには、現状だと
いろいろ制約を受けざるをえないわけです。
その不便な部分をちゃんと理解された上でなら、
人民元での運用もアリなのではないでしょうか?
いま日本国内で人民元建ての口座を開設する方法は、
中国銀行(岡山県にある中国銀行ではなくBANK OF CHINAのほうです)の在日支店を利用するか、
またはHSBCプレミアを利用するかのどちらかの方法しかありません。
ただ中国銀行のほうは、人民元建てでありながら、
定期預金の利息は国内の銀行と同程度(年0.45%)になってしまうので、
せっかくの中国の高金利の恩恵が受けられないんです。
そうなるとHSBCプレミアということになりますかね。
1年定期で2.25%もの金利はそれだけでも十分魅力的といえますし、
もしホントに人民元の切り上げが行われたとしたら…、
円に戻したときの利回りが楽しみになります。
こちらは最低金額が1000万円であること(下回ると月5000円の口座維持手数料がかかります)や、
中国国外で引き出せる金額に上限があるなどの制約がありますので、
そのあたりを十分踏まえておく必要があります。
いざ日本国内で使おうと思ったときに引き出せないのでは、
せっかく人民元で資産が増えたとしてもあまり意味がないですし。
それから、為替リスクもいちおう考えておく必要はあります。
人民元は実質的に米ドルと連動しているので、
極端な円高ドル安が進行した場合は
定期預金の利息に人民元切り上げを加えても
為替差損でチャラということだって、ありえない話ではないのです。
あと、ここで今一度、”チャイナリスク”を思い出しましょう。
中国のことですから、はっきり言って何が起こるかわからない部分はあります。
めったにありえないとは思いますが、たとえば、ある日気づいたときには
日本からの利用には法外な税金がかけられるようになってたりとか…。
いずれにしても中国への投資を考えるときは、経済だけでなく
国際情勢や政治の動向にも目を向けて、
どこにひそんでいるかわからないリスクにも
常に目を光らせておくくらいの気持ちで臨んだほうが良さそうですね。
為替はあっさりと83円を超えてきましたね。
僕はいちど決済してから、
83円16銭で引き続きドル買いのポジションを持ち続けています。
悪い流れじゃないと思いますがこのまま一本調子でドルが上げることは考えにくいので、
84円を超えたあたりで、売りも絡めながら行こうかと思っています。
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プラスワンという発想

尖閣ビデオ問題が毎日のように報じられて、
日中関係もますますややこしくなっていますね。
そんな中、投資家向け情報サービスのブルームバーグが12日に発表した
“投資機会番付”では、なんと中国が1位になったそうです。
同社の世界の端末ユーザー1030人を対象にした四半期調査によると、
向こう1年間で最も大きな投資チャンスを提供する国・地域として
中国を選んだ回答者が全体の33%に達したとのこと。
ちなみに2位はブラジルの31%、3位はインドの29%、4位が米国は23%。
投資家の間では、やはり新興国市場への期待が高いんですね。
中国株の動向を示す香港市場の4つの指数を見てみると、
たしかにこの2年間、揃って右肩上がりになっているのがわかります。
代表的な指標であるハンセン指数は2年前と比較すると56%の上昇。
またGEM指数はNASDAQ指数の香港版とも言われるとおり
新興のハイテク関連、IT関連企業が多く集まっている市場の株価指数ですが
こちらはなんと122%ものアップを見せています。
こうしてあらためてチャートや数字を見ると、中国市場への注目度が高まっているのもうなずけますね。
特に証券会社系のサイトなどではかなり積極的に本土系の個別銘柄が紹介されていますし、
他にも最近の中国投資関連のニュースとしては、こんなのがあります。
~世界銀行と中国国際金融公司が4日に共同で発表した「2011年ビジネス環境報告」による
と、世界の各経済体が過去5年間に行った国内企業に向けてのビジネス環境の改善で、中国
は最もペースが早い15の経済体の一つに選ばれた。~
(11月5日「人民網日本語版」)
~2010年11月11日、中国経済網によると、米大手民間調査機関のコンファレンス・ボード
(CB)は10日、中国の国内総生産(GDP)が購買力平価ベースで2012年に米国を抜き、世界
最大の経済体になるとの予測を明らかにした~
(11月13日「レコードチャイナ」)
こう見るとなんだか中国がバラ色の投資天国みたいに思えてきてしまいます。
ただ中国投資については、常に”チャイナリスク”が付きまとうことも
忘れてはいけないですよね。
今まさにホットな尖閣湾沖の漁船衝突事件もそうですし、
抗日デモや毒入り餃子事件なども記憶に新しいところです。
チャイナリスク…
この”相手が中国人だけに何が起こるか分からない”といった物言いは、
当の中国人の方々にとっては実に心外なことなんじゃないかと僕は思うのですけど、
まあ大勢の人が大変な目に遭ってきたからこそ定着した言い方なわけですから
言葉とはそういうものなのでしょう。
僕がまだ出版社で駆け出しの編集者だった頃に担当させていただいた著者に、
中国通としても知られているジャーナリスト、宮崎正弘氏がいます。
氏は世間でチャイナリスクという言葉が使われるよりもずいぶん前から
中国におけるカントリーリスクについて強調し続けてきた一人です。
雑誌”SAPIO”などでも活躍されているのでご存じの先生もいらっしゃるかもしれませんが、
政治思想や国際情勢にもとても精通されていて、
しかも自分の足で独自に取材した情報で勝負するあたりに、
僕はジャーナリストの心意気みたいなものを感じて、あこがれたものです。
ただ当時から経済ヘタレだった僕は、氏の情報量の多さと鋭い分析力とには
なかなかついていってませんでしたが(笑)
最近『上海バブルは崩壊する』という著書を出されていますし、
密度の濃いメルマガをほぼ毎日配信されたりと、精力的な続けていらっしゃるので、
中国情勢、とりわけリスク面についてご興味を持たれた先生は、
一読されてみてはいかがでしょうか?
話を中国投資に戻しますと、
中国が今、驚くべきスピードで経済的に急成長をしているのは世界が認める事実ですので、
危ない橋を渡らずに投資できる道というものが、ありそうなものですよね?
考え方としては二通りあります。
ひとつは、チャイナリスクをリスクとしてしっかり認識して対処すること。
つまり投資先を中国だけに集中させない。
中国と、あともうひとつ、というスタンスを保っていくこと。
いわゆる”チャイナ・プラスワン”です。
これも中国人の方々の身になってみると失礼千万な用語かなとも思うのですが、
とはいっても、リスク分散という投資の基本を確認する意味でも、わかりやすい考え方ですよね。
プラスワンという発想。
リスクを孕んだ何かに挑戦するときには、いつでも出せるところに用意しておきたいものです。
そしてもうひとつの考え方としては、リスクが最も少ないと思われる方法を選ぶこと。
ヒントは、今年(2010年)の春頃から”秒読み段階に入った”とも言われる、人民元の切り上げです。
これについては次回、もうすこしお話をしたいと思います。
ところで先週は、ドルが少し動きましたね。僕はこのときを待ってました!
僕は9日夜に80円台半ばまでドルが下がった時にさらに15万の買いを入れたのですが、
これが大当たりでした。
明けて10日の朝10時には81円台半ばまで、1夜にして約1円動いたことで、
15万ほどの利益を確定できました。やりました。
その後も細かい売買を何度かしましたがこれといった成果はなく、
11日につけた82円28銭で、買いのポジションを持っています。
83円あたりまではこのままで頑張ろうかなと思っています。

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