基本は定点観測

かつて証券会社の店頭窓口に「日経平均を買いたいのですが…」というお客が来たという話は、
証券マンの間では笑い話のネタにされていたものです。
今でこそETFなど指数連動型の金融商品の取扱が普通に行われるようになって、
「日経平均を買う」ような感覚は個人投資家でも当たり前になってきていますが、
こうした商品が登場する以前は、株価指数への投資はプロの世界に限られていたものでした。
日経平均株価の算出が始まったのが1950年。もう60年以上にもなる歴史のなかで
ETFはここ十数年の間に急速に広まったわけですから、
日本ではまだつい最近始まったばかりと言ってもいいかもしれません。
ETF(Exchange Traded Fund)というのは取引所で取引される投資信託という意味で、
つまりは株のようにいつでも売買することのできる投資信託ということです。
取引所に上場されているので取引時間中なら個別株のように何回でも売買できて、
また個別株への投資に比べて少額の資金で始められるという点が個人投資家にとっては嬉しいメリットですよね。
しかも、いわば複数の銘柄にまたがって投資をするわけですから、
銘柄を選ぶ手間もなく、かつリスクを分散した投資にもなっているという言い方もできますので、
とくにネットでのトレードが普及した今、初心者が投資を始めるのにぴったりだという人が多いのもうなずけます。
そのETFがここ最近、売買高をぐんと伸ばしています。
震災後の先月14日~18日にかけて日本株ETFに過去最高の資金が流入したことは前にも少し触れたとおりですが、
東京証券取引所の資料でこの1年間の推移を見ても、ぐっと右肩上がりになっているのがよくわかります。
震災の影響もあって、この3月の一日平均売買代金は180億円超。
売買高が約1632万口ということですから、いずれも過去1年間では突出していますね。
ちなみにETFの本場アメリカで取扱いが始まったのは1993年で、日本より10年近く前ということになりますが、
その規模はケタ違いです。
いま日本で上場されているETFが約120本なのに対してNYSEユーロネクストに上場されているのはなんと約1150本。
一日の売買代金も普通に数兆円に上るのだそうです。
これが10年の差ということなのでしょうか?
こと金融に関しては日本はアメリカに追随してきていますので、
ETFについても、日本はこれからさらに売買高を伸ばしていくのではないでしょうか?
しかもアメリカで最初のETFである「SPDR(スパイダー) S&P500 ETF」という商品が先日(3月24日)、
東証に上場されて、日本人投資家の注目を集めています。
これはアメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動するETFで、
純資産総額が約934億米ドル(約7兆6千億円)。
といわれてもちょっとピンときませんが、とにかく桁違い。世界最大のETFなわけです。
“寄らば大樹の陰”が大好きな日本人ですから、おそらく、
これからもっともっと売買高を伸ばしていくことでしょう。
このETFを買うとなるともちろん、S&P500指数の日々の動きには最低限チェックを怠らないようにする必要があります。
S&P500指数は日本でいうなら日経平均だとかTOPIXだとかにあたるもので、
NYダウと並んで広く報道されていますから、
もし気になった方がいらしたらまずはこれを定点観測するというあたりから始めてみましょうか…。
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