サービスコンセプト

 

ひと月ほど前にスカイマークの高慢ちきなサービスコンセプトが話題になりましたが、

みなさんまだ覚えていらっしゃいますでしょうか?

その内容をかいつまんで言うと、「乗りたくなければ乗るな」という内容です。

ちょっと端折りすぎたのでもう少し詳細な説明をすると、

前文:弊社は安く運航するために客室乗務員のサービスを落としています。

1,うちの客室乗務員は収納のお手伝いをしません。(自分でやって)

2,うちの客室乗務員の口調は自由です。(敬語を使えないかもしれません)

3,4,うちの客室乗務員は服装自由です。(キャミソールでも文句を言わないで)

5,うちの客室乗務員は私語自由です。(基本アフター5の話しかしていません)

6,社内の騒音に関する苦情は一切受け付けません。(赤ちゃんは自由に泣かせます)

7,地上係員よりも客室乗務員の言うことを聞きなさい。(一応、客室乗務員の方が偉い)

8,苦情のある方は御退出ください。不満のある方は「スカイマークお客様相談センター」か

「消費生活センター」に連絡してください。(できれば後者希望)

 

この内容で結構なバッシングを受けていたようですが、

よくよく読むと、最後の「消費生活センターに連絡」以外の文面については、

特におかしいと思うようなところはございません。

 

要するに、スカイマークの「客室乗務員」「保安要員」なので、

一般的な客室乗務員に期待するようなことは一切しませんということです。

ただし、そうであるならば、ネームプレート等に「保安要員」と書くべきですね。

(もしくは保安要員らしい服装をするとか?)

 

そうしておかないと、お客様の中には勘違いしてしまう人もいるでしょう。

だからこのようなリーフレットを座席ポケットに入れておくのですが、

乗ってから説明するのは卑怯なので、ホームページに記載するなど事前説明が必要でしょう。

 

 

サービスを差別化してコストを安くすることは当たり前のことです。

 

 

ANAやJALの客室乗務員の愛想が良いのは、それも価格に織り込み済みだということです。

「旅客輸送」というサービスだけを提供するのであれば、

上記のサービスコンセプトが間違っているとは思えません。

(従来の航空会社のサービスが過剰だったということだけです)

 

どういう目的に対していくら払うかということが明確になっていれば問題ではないのです。

今回のスカイマークの一件は、今後のLCCビジネスに一石を投じました。

「嫌なら乗るな。乗るなら文句を言うな。」これがLCCだということです。

 

利用者がコストパフォーマンス的に良しと思えば乗りますし、

同じ価格で愛想が良い航空会社があれば、そちらに乗り換えるでしょう。

利用者側に選択権があるので、各航空会社は利用者のニーズに合わせてサービス開発します。

「旅客費用は極端に安いが、客室乗務員の愛想も極端に悪い」という航空会社があっても良いのでは?

 

 

ちなみに、旨いラーメン屋の店主は大抵が無愛想な気がします。

むしろ、愛想が良いのは味に自信がないことの裏返しなのではないかと勘繰ってしまいます。

この感覚は完全にひねくれた感覚ですね(笑)

 

 

P.S.マクドナルドの店員さんから0円スマイルをいただくよりも、

無愛想なラーメン屋店主に叱られてみたいと思うのは私だけでしょうか?

  マニュアルよりも個性が大事だと思います。

 

インセンティブの功罪

前回のブログで「モラルハザード」を回避するためには、絶妙なインセンティブ設計が必要だと書きましたが、

それは「信賞必罰」を絶妙に兼ね揃えたインセンティブのことです。

 

創業間もない新興企業や営業マンを多く抱える企業、外資系企業においては

インセンティブを多用しているケースを目にしますが、

インセンティブの設計で重要なのは、誰を対象とするかだと思います。

 

上記のようなイケイケの企業は、上位2割と下位2割を対象にしていることが多いと感じます。

2:6:2の法則により、上位の2割を競わせて業績を引っ張り上げるやり方と、

下位の2割を競わせて、業績のボトムアップをはかるやり方です。

 

前者の例としては、決まった金額以上の売上を上げた人には、

上振れした売上の何割かを報奨金として渡すというものです。

この手のインセンティブに当てはまるのは上位2割程度の優秀な社員となります。

そして、できる社員同士がライバル関係になるため、横の連携が取れずに機会損失が起こるでしょう。

 

逆に、後者の例として、営業成績の下位何%の人は賞与を出さないというケースがあります。

それに似たケースですが、今までで最も理不尽なインセンティブを見かけたのは、

入社間もない新入社員に名刺集め競争をさせ、下位の人は会社に留まることすらできないというものです。

 

その会社は大手人材会社でしたが、業績が思わしくなかったため、

入社早々、新入社員の大半が関連会社(人材とは全く関係のない会社)に出向することになっていました。

人材会社に残れる社員は一部であったため、その限られたポジションを名刺集め競争で競わせていたのです。

 

その競争でトップを勝ち取った新人女性のコメントが印象的な一言でした。

「わたしは絶対に○○○○には行きたくなかった!だから頑張りました!」

ちなみに、○○○○には出向先の関連企業の名前が入ります。。。

 

入社早々の競争に勝ち残ることで、

ようやく入社した会社の正社員になれたという、なんとも世知辛いケースでした。

 

このような理不尽な会社は、半永久的に競争させられるため、

ほとんどの人が2~3年で精神的に疲れて辞めてしまいます。

よって、社員の知的財産が企業内に蓄積されず、教育コストだけが莫大にかかるというスパイラルに陥ります。

 

 

これとは逆に、昔ながらの大企業は、2:6:2の真ん中の”6”にスポットを当てています。

その理由は、上位2割は放っておいても頑張り、下位2割はどんなインセンティブを設けても頑張れないからです。

(下位2割の人達は元々能力が劣っているケースが多く、決して手を抜いている訳ではないのです。)

そのため、最もシェアの高い6割の中間社員を頑張らせることに力を注ぐのです。

 

では、真ん中の6割の社員がどうすれば頑張って働いてくれるのか??

 

それは、下位2割にも優しく公平に接することです。

真ん中の6割の人間は、ひょっとすると下位2割に落ちてしまう可能性を感じているため、

下位2割がどのように扱われるかを常に気にしています。

 

要するに、自分に何かあった時のセーフティネットが整備されているかどうかを意識しているのです。

企業側が下位2割に対して手厚く接している企業の社員には安心感があります。

この安心感は、中間層が自発的に働くためのインセンティブとなります。

 

この現象について、不思議に思われるかもしれませんが、事実なのです。

企業が社員に自発的に働いてもらうためには、高額なインセンティブを支払ったり、

降格の危機にさらすようなプレッシャーをかけ続けるよりも、働きやすい環境を整備することが重要なのです。

企業と社員がお互いに「誠意」を示し合うことで協力関係が出来上がるのです。

 

これを経済学の用語で説明すると、相手と自己の利得を同じようにする「不平等回避」の行動です。

人間は自分だけが特別扱いされることよりも、他者と比較して公平に扱われることを望んでいます。

逆に考えると、公平に扱われさえすれば、人間は自発的に働くということです。

(社員間の競争を煽る必要など無いということです。)

 

この状況を夫婦間の関係に例えますと、夫婦間のルールを守った際に高級なプレゼントをあげるとか、

ルールを破った際に高い罰金を支払わされるといった刹那的なインセンティブは長期的には効果が無く、

お互いの公平性さえ保つことができれば夫婦関係は上手くいくということです。

 

要は、お互いを厳しくチェックしあうのではなく、許し合うことが重要だということです。

夫婦間の約束事やルールはお互いの「誠意」により成り立っています。

重要なのは、「許し合いの精神」です。

 

 

ちなみに、うちの妻は「誠意」よりも「高額なインセンティブ」が良いそうです(涙)

 

seii.jpg

モラルハザード

最近最も気になる言葉は「モラルハザード」です。

 

「モラルハザード」を和訳すると「倫理の欠如」ですが、

最近はこれに当てはまるケースが様々な分野で散見されます。

モラルハザードが起きる原因は、人間が本来持っている“性”からきていると思われます。

 

人間は損失が限定される(もしくは損失が無い)と、無駄遣いをしてしまう生き物です。

もしくは、報酬と損失を比較した際、明らかに損失リスクの方が少ない場合、

報酬を最大化するために、リスクを過大に取ってしまう生き物なのです。

 

 

前者の例(損失が限定)を挙げると、医療保険や自動車保険等の保険分野に関わるものがあります。

日本の医療保険は、本人か負担するか国が負担するかの2通りしかありません。

自動車保険は、本人が負担するか保険会社が負担するかの2通りです。

いずれも本人が少しは負担するため、不要不急の無駄遣いは多少なりとも抑えられています。

 

しかし、高齢者や生活保護者や乳幼児には医療費を負担する必要がないため、

大した病気じゃなくても、ついつい病院に行ってしまうのではないでしょうか?

我が家も「乳幼児医療助成制度」の対象世帯なので、子供の医療費は自己負担がありません。

そのため、子供がちょっと調子悪くなると、ついつい病院に連れていってしまいます。

 

この行動の裏側に潜む考え方は、「自己負担が無いなら取りあえず診せておこう」です。

 

 

次に、報酬と損失のリスクがアンバランスの場合に起こるモラルハザードは、

AIJ投資顧問のようなケースや、外資系金融企業の高インセンティブ制度に関わるものです。

AIJの浅川社長は年俸7千万円を貰っていたそうですが、巨額の年金資産を消失させても、

個人資産を没収されるリスクはありませんでした。

 

外資系金融企業の社員は、高いインセンティブを設定されているケースが多く、

その大半は年度ごとの業績に比例して支払われます。

そのため、単年度の業績を上げることで高額報酬を得て、次年度が赤字だったとしても、

前年度の報酬を返す必要はありません。

そうなると、中長期的なことなど考えずに、短期的な業績を上げることだけを考えます。

 

このインセンティブ制度の弊害は、日本企業でも往々にしてあることです。

売上をインセンティブの対象にしている営業マンは、インセンティブを貰うために、

嘘の売上を会社に報告し、後々になって売上をキャンセルするなど、ズルをします。

 

 

適度なインセンティブは効果を発揮しますが、過度なインセンティブは会社を潰します。

 

 

この「モラルハザード」という考え方は、あらゆる場面で遭遇するのですが、

要するに、リスクとリターンのバランスが崩れているから起こるのです。

「人間は易きに流れる生き物」なのだから、なんらかの形で歯止めをかける必要があります。

 

今話題の生活保護にしても、受給するリスクが全く無いのはどうかと思います。

正しい受給なら問題ありませんが、不正受給に対する罰則をもっと強化するなど、

負のインセンティブを設ける必要があると思います。(電車のキセルでも3倍返しです。)

 

 

ちなみに、夫婦間にもモラルハザードは存在すると思います。

夫が仕事を理由に家事や育児に協力的じゃなくなるとか、

妻が容姿を気にしなくなるのは「モラルハザード」以外の何物でもありません。

 

この場合は、多少の問題が起こったとしても離婚には至らないという安心感により、

損失リスクが制限されていることが原因です。

そして、夫婦間がお互いに教授しているサービス(報酬)が当たり前になっていることが問題です。

 

この報酬と損失のアンバランスが生み出す状況は

降格の無い一部上場企業のサラリーマンが管理職になった途端に手を抜くケースに似ています。

しかし、今やパナソニックのような大企業のサラリーマンがリストラに合う世の中です。

そのため、安定した夫婦間でもお互いにリストラされない努力が必要だと思います。

 

 

では、それらを回避するためにどうしたら良いのか?

それは、絶妙なインセンティブ設計することだと思います。

ちなみに、我が家の私に対するインセンティブ(負のインセンティブ)は下記内容です。

 

・飲み会1回につき5千円(仕事は除く)

・外泊一泊二日につき1万円(仕事での宿泊を含む)

・外泊二泊三日につき3万円(仕事での宿泊を含む)

※上記金額は妻の機嫌により変動します。

 

以上、私が早く家に帰るインセンティブでした(涙)

 

 hiki.png

神奈川県民の特徴

先日放送された「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」

神奈川県民のわたしにとって非常に興味深い内容でした。

 

 

それは、「日本で最も腰痛患者が少ない県は神奈川県」というものです。

 

 

番組内での考察では、いくつかの要因が述べられていました。

まず、神奈川県民は県外通勤・県外通学者が断トツで1位とのことでした。

そのため、勤務時間(通勤時間を含む)が最も長く、睡眠時間は最も短い県だそうです。

 

埼玉県立大学の伊藤教授によると、

通勤時間が長いため、腰回りの筋肉が鍛えられ腰痛が少なくなるのではないか?とのことでした。

 

また、神奈川県は高低差があり起伏が激しいため、家から駅までの往復(徒歩)で

足腰が鍛えられということと、満員電車に立って乗っている時間が長いため、

その状況が「多裂筋」という体幹や下肢の筋肉を鍛えているのではないか?ということでした。

 

 

ちなみに、神奈川県民のわたしは通勤時間が1時間40ほどです。その内訳は、

家⇒徒歩(15分)⇒電車(60分)⇒乗換(10分)⇒電車(10分)⇒徒歩(5分)⇒会社

この長い道のりが健康を保つ秘訣となるのでしたら、今後も続けたいものです。

 

 

実際、関西に住んでいた頃よりも、こちらに来てから腰痛が減ったような気がします。

(たぶん気のせいですが・・・)

 

 

もう一つ、長い通勤時間のメリットをあげるとすると、新聞や本を読む時間を確保できるということです。

名古屋や関西にいた頃は、通勤時間は30分程度だったので、ほぼ寝ていました。

しかし、関東に来てからは、朝は新聞・帰りは読書でインプットの時間に充てています。

 

飲んでもタクシーで帰ることができる都内在住者を羨ましいと思う反面、

自分の時間を確保できる今の生活は悪くないと思っています。

なにせ、わたしが唯一「心安らぐ時間」は通勤時間ですから()

 

 dokusho.jpg

学会

 

先日、弊社としては初めて「学会」に出展してきました。

 

 

当初の目的は登録医師を増やすことでしたが、

想定外の出会いがあり、非常に価値あるものとなりました。

今回は、「学会」に出展して良かった点をいくつかお話しさせていただきます。

 

 

まず、WEBによる広告掲載とは異なり、リアルな場での展示は、人の目につきます。

WEB上の広告は、自分の見たいもの以外はスルーされる傾向にあるのですが、

展示会場においては、見たくなくても目に入ります。

 

また、今回は学会パンフレットにも協賛したのですが、

紙面上に載せる広告は、永く手元に残るため、効果が継続します。

そして、紙面上の広告も展示会と同様に、見たくなくても目に入ります。

 

 

次に良かった点は、以前お会いした医師や、

電話でしか話したことのない医師と直接お会いできたことです。

遠方にお住いの医師も、学会の際は遠路はるばる足を運ばれる方が多いようで、

わざわざ青森から会場へいらした方もいらっしゃいました。

 

そして、登録には至らないまでも、軽くお話をしていただける医師も多数いらっしゃいました。

そういう医師は会社名と名前の書いたネームプレートをチラ見せしてくれました。

そこに込められたメッセージは、以下のようなものです。

「人目があるからこの場では登録できないけど、こういう人が来たということを覚えておいてください。」

こちらからは連絡取れないので、ひたすら待つしかありませんが、将来的には意味があります。

 

他には、「m3のメッセージ見てます」とか、「m3の写真変えました?」とか、

m3」という媒体を通して知っていただいた方にもお会いすることができました。

(悔しいですが、m3という媒体は医師に対する影響力がありますね・・・)

 

 

また、転職希望医師ではないのですが、色々な方と話をすることにより、

新たなビジネスを拡げていくヒントにもなりました。

(学会関連の”重鎮”とも話をする機会がありましたが、非常に勉強になりました。)

 

 

リアルな場には、WEBとは異なる人間臭さがあり、非常に有意義なものだと感じました。

学会出展は、出展コストや人的コストを考えると、それなりに費用はかかりますが、

こういったアナログな広告手法と、WEB上のデジタルな広告手法は、

併用することにより意味があると感じました。

大事なことは、「即効性を求めるよりも中長期的な効果を見据えること」だと思います。

 

 

最後になりますが、今回の学会でお世話になった方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

本当に有難うございました。

今後も継続して学会出展を行いたいと思っております。

引き続き、よろしくお願い申しげます。

 

 gakkai.png