最近話題の「メディア王」といえば、オーストラリア出身の「ルパート・マードック」です。
イタリアの「メディア王」といえば、「ベルルスコーニ首相」です。
では、日本の「メディア王」といえば、誰を思い浮かべますか?
わたしは「ナベツネ」こと「渡邉恒雄」を真っ先に思い浮かべます。
「ルパート・マードック」は、ニューズ・コーポレーションを所有することから世界のメディア王と呼ばれています。
長年オーストラリアを拠点としていましたが、1986年にアメリカ合衆国でFOXテレビを創設した際、
アメリカ国籍でなければテレビ局の経営ができない「連邦通信規則」の関係でアメリカに帰化しました。
そんな彼が今注目されている理由は、
彼が所有する会社が発行していた「ニュース・オブ・ザ・ワールド」という英国のタブロイド紙の取材方法についてです。
この新聞は、有名人のゴシップ記事が多く、日本の「東スポ」のような軽い新聞ですが、発行部数は英国TOPクラス。
英国人は、非常にゴシップネタが好きなため、無茶をして取材する事が日常茶飯事のようです。
これまでも、取材手法や物議を醸す記事をめぐり、名誉毀損で訴えられる事が多く、
今回は著名人の電話を盗聴していたという疑惑により提訴されています。
また、厄介なことに、「ニューズ・コーポレーション」が、警察や政治家と癒着していたことが発覚し、
芋づる式に英国の政界にまで影響が及ぶ事件になっています。
イタリア首相の「ベルちゃん」もそうでしたが、「メディア王」≒「悪人」という図式が成り立ちます。
当然、日本のメディア王「ナベツネ」もその一人なのですが、
メディアをコントロールできるということは、世論操作ができるということなので、
どうしても政界との結びつきが強くなってしまいます。
「ナベツネ」こと「渡邉恒雄」の現在の肩書は、
「読売新聞グループ本社代表取締役会長」「読売巨人軍会長」ですが、
85歳というご高齢にも関わらず、未だにあらゆる方面に影響力を持っています。
政界に対しても強い影響力があり、中曽根康弘との親交の深さが殊に知られています。
昔から「メディアを制する者が永田町を制する」と言われていますが、
「ナベツネ」がここまでの地位を形成できたのも、「読売新聞」の発行部数が背景にあります。
「読売新聞」の発行部数は一昔前で1400万部ともいわれていましたが、現在は1000万部強。
それでも、日本一の新聞社であり、全国の世帯普及率18.5%です。
この数字が示す意味は、「読売新聞」が世論の2割を牛耳っているともいえるのです。
独裁者がメディアを掌握すると、必ず世論を自分の思う方向へ向けようとします。
代表的な例が「靖国参拝」です。
元々自民党に強い影響力を持つ「ナベツネ」ですが、
盟友の中曽根を強引に引退させた小泉純一郎に対しては極めて批判的です。
小泉元首相の靖国神社参拝に対しては猛烈に異を唱えており、今後靖国を参拝する首相がいたら、
発行部数1000数万部の『読売新聞』の力でそれを倒すと話しています。
このように、巨大メディアの力を使えば、世論操作は案外簡単にできてしまうものです。
九州電力において、関連会社に原発再開の世論誘導に協力するよう、メールを送ったことが問題になっていますが、
あのような世論操作は日常的に行われているものと思った方が良いでしょう。
世論とは、誰かが意図的に操作しているものなのです。
どのメディアも、何らかの意図を持って記事を掲載しています。
よって、メディアに書いてあることを鵜呑みにせず、自分なりに解釈する術を磨く必要があります。
そのためにも、複数のメディアに普段から目を通す癖をつけた方が良いでしょう。
「東スポ」のような軽い新聞も、重要な情報源です(笑)