現在、原発危機について様々な情報が飛び交っていますが、
落ち着いて行動する必要があると思います。
なぜなら、今回危険視されている放射性物質の「ヨウ素131」は空気より重い物質です。
ということは、風が弱ければあまり遠くまで拡散しません。
現段階においては、200キロ以上離れた東京の人が、むやみに心配する必要はないといえます。
あの有名な「チェルノブイリ原発事故」でも、強制避難区域は30km圏内でした。
よほど近距離でなければ、治療が必要なほどの被曝をする危険性は低いので、
落ち着いて行動するようにしましょう。
放射性物質の飛散とともに、電力不足が深刻な問題になっていますが、
東京電力の全発電量に占める原子力発電比率は23%といわれています。
ということは、普段より2割程度の節電を心掛ければ、計画停電の実施は必要がないはずです。
皆さん、電力が復旧するまでは、極力節電に努めましょう。
ちなみに、世界の原子力発電比率(2008年の実績)は、約15%を占めています。
また世界30か国で432基の原子力動力炉が運転されていますが、
大半は米国や欧州などの先進国に占められています。
■各国の原子力発電比率
・米国:約20%
・ロシア:約16%
・フランス:約80%
・南アフリカ共和国:約5.5%
・中国:約1.5%
・日本:約23%
上記の数値を見ると、日本の23%は高い方だといえますが、フランスの80%には遠く及びません。
逆にお隣の中国は未だ化石燃料に頼っているため、原子力発電比率は1.5%に過ぎません。
いずれは欧米並みに高くなることが予想されます。
■日本の各電力会社の原子力発電比率
・北海道電力 : 約40%
・東北電力 : 約16%
・東京電力 : 約23%
・中部電力 : 約15%
・北陸電力 : 約33%
・関西電力 : 約48%
・中国電力 : 約8%
・四国電力 : 約38%
・九州電力 : 約41%
・沖縄電力 : 0%
日本国内において、最も原子力発電比率が高いのは関西地区となります。
今回の事故で原子力発電に対する風当たりが強くなるとは思いますが、
原子力発電は既に日本においてなくてはならない発電方法なのです。
また、原子力発電の技術を海外へ売り込むことで日本の高い技術を海外に誇示してきました。
ここ数年、UAEで韓国勢に敗れ、ベトナムではロシア勢に敗れるなど遅れが目立っていますが、
直近では東芝・日立・三菱重工に加え東京電力などの電力会社を交え「国際原子力開発」を設立し、
海外向けの受注活動で相互協力する姿勢を示していた矢先でした。
更に、原子力発電の利点として、以下の事が挙げられます。
1、発電量当りの単価が安いため経済性が高い
2、核燃料物質の国際的な入手ルート・価格がほぼ確立し安定している為、
化石燃料型の発電に比べて相対的に安定した電力供給が期待できる
3、発電時に地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出しない。
4、優秀な原発技術は海外へ売り込むことができる
化石燃料の乏しい日本にとって原発は無くてはならない存在だといえます。
もちろん、原発には多くの問題があるため、
それらのことに上手く対処しながら付き合っていく必要があると思います。
今回の事故についても、できるだけ素早い対応を願いたいものです。
チェルノブイリの事故が明らかになったのは、当初ロシア政府が問題を隠していたため、
1100km離れたスウェーデンの原子力発電所が放射線粒子を見つけたことが発端だといわれています。
公表が遅れれば遅れるほど事故の被害は拡大します。
今回の原発事故に対しては、このような隠匿が無いよう、東電と政府にお願いしたいものです。
そして、放射線物質の飛散の可能性がある地域の方は、なるべく外出は控えるようにしましょう。