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本日は産業医の求人案件ヒアリングのために、とある工場を訪問しました。

わたしは以前メーカーに勤めていたことがあり、工場勤務の経験もあるため、

工場にいくと懐かしい気持ちになります。

 

その工場は駅から少し離れているため、バスかタクシーに乗る必要があるのですが、

行きは時間がなかったためタクシーを選択しました。

駅前にはタクシーが10台ほど並んでいたのですが、

正直2km弱の道のりを、並んでいるタクシーに乗るのは少し気が引けました

せっかく並んだのに、たかがワンメーターしか乗らないと、タクシー運転手に悪い気がするのです。

しかし、田舎の駅だったので流しのタクシーがいる訳もなく、

仕方なく並んでいるタクシーに乗り込みました。

 

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用件を終えて、帰りはバスにでも乗ろうかと時刻表を見ていると、

勢いよくタクシーが目の前でUターンしました。

よく見ると、タクシーの横の窓に張り紙がしてあり、

そこには手書きで「空いてます」と書かれています。

バスが来るまで時間があったので、ついついそのタクシーに乗ってしまいました。

 

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すると、わたしが乗車するなりそのタクシーの運転手が言いました。

「この時間帯はこのやり方が一番お客さんを拾えるんだよ」と。

 

どうやら、そのタクシー運転手は駅前で並ぶのではなく、

工場前でこっそりとお客さんの出待ちをしているようなのです。

 

理由は、駅前よりも待ち時間が少ないからだそうです。

たしかに、その工場前にはタクシーが並べるスペースがないため、全く並んでいませんでした。

そこで、その運転手は工場の入り口から少し離れたところで様子をうかがい、

バス待ちの人がいると、その人の前を手書きの「空いてます」表示を掲げて、

ゆっくりと通り過ぎるのだそうです。

 

う~む。。。上手い!

 

 

タクシーの運転手が自慢げに、「空車表示はあえて手書きが良いんだよ」と言ってました。

また、5時過ぎの時間帯は、営業マンが帰る時間と急用のある社員が帰る時間が重なるため、

工場から駅に向かうお客さんが多いのだそうです。

 

少し考えれば分かりそうなことですが、同業で同じやり方をしている運転手はいないそうです。

「お客さんの定期的な行動を読んで、かつ、お客さんの目に付くような広告表示をする。」

これは商売の基本ですが、それを着実に実行しているこの運転手は素晴らしいと思いました。

 

 

駅に着いた際、わたしはお釣りを受け取らずにタクシーを降りました。

たかが300円程度ですが、感謝の気持ちのチップです。

運転手さんは「毎度あり!」と喜んで次のお客様を拾いに工場へ去って行きました。

 

※わたしはタクシーをワンメーターしか使わないとき、

運転手の態度によってお釣りをチップにするかどうか決めています。

ワンメーターでも、“快く”乗せてくれたときは、ほとんどお釣りは受け取りません。

(これはかつての上司の行動を真似ています。)

 

 

お客様は待っていてもなかなか現れません。

お客様のニーズをよみ自ら動くことで出会いの機会は拡がります。

本日はタクシー運転手から「ライバルと少し異なる行動の重要性」を学びました。