医師の年収

ベタなネタですが、今回は医師の年収について書かせていただきます。

 

まず、弊社にご登録いただいている医療機関の求人票を元に、

常勤医師の年収を試算してみました。(N=2,541件)

あくまでも求人票ベースの話になりますので、ご了承ください。

 

 

まず、常勤医師の全国平均ですが、経験年数ごとに見ると以下のような状況です。

全体平均   経験5年目   経験10年目  経験15年目  経験20年目

1490万円  1070万円   1450万円   1580万円   1720万円

                                  ※週5日勤務ベース

 

ただし、上記の数値はあくまでも民間病院の年収となります。

一般的に、研修医の年収は300400万程度と言われていますが、

研修医後に医局に残るかどうかによって、医師の年収は極端に変わります。

 

 

【医局に残る医師】

医局に属している人の中には、未だに無給医がいます。

先日お会いした医師もそうでしたが、そういう医師は非常勤でアルバイトをされています。

1,2日程度アルバイトをされていますが、年収ベースでは300600万程度となります。

 

そのまま医局に所属しても有給医局員で、500万程度。

講師で700800万、助教授で800900万、教授でも1000万~と推測されます。

教授になったとしても、大企業の課長クラスといったところでしょうか。

 

よって、大学に残る人は、お金を求めるわけではなく、

「単純に研究がしたい」か、「権力が欲しい」かどちらかのケースだと思われます。

最近では医局に残る人の方が少ないため、今回の平均値からそれらのデータは除きます。

 

 

【医局に残らない医師】

医局に残らない医師達は、だいたい600700万円程度の年収からスタートします。

そして、年間約100万円ずつ上がっていき、10年目にして1500万に到達するといった感じです。

弊社でサポートをしている医師は、年収15001800万円のレンジが多いです。

 

ただ、常勤の年収で2000万円近くなると、週5日勤務で当直有りのケースが多いため、

忙しさを嫌がる最近の医師は4日勤務、当直無し15001600万程度を確保し、

残りは週1日の定期非常勤で400500万円を補うケースが多いです。

 

医師によっては、1日の非常勤を5つ掛け持つことで年収2000万円をクリアしている人もいます。

ただ、若いうちからそういった働き方をしていると、

医療機関側からはあまり良い印象は持たれないのでご注意ください。。。

 

 

年収を上げるために、地方に行くという手もあります。

以下は、地域別の年収平均の順位となります。

この順位だけを見ると、北へ行くことが良いように思われます。

 

1、 北海道  1610

2、 東北    1570

3、 北信越   1520

4、 東海     1500

5、 関東     1490

6、 九州     1450

7、 四国     1420

8、 中国     1400

9、 近畿     1360

 

 

しかし、弊社を利用していただいている医師のほとんどが関東地区在住であり、

転勤を伴う転職はあまり目にすることがありません。

転勤があったとしても、むしろ地方から都心部へという希望の方が多いと思います。

 

また、近畿地区の年収平均が最も安いというのは妙に納得感があります。

アルバイト求人を見ていても、交通費込みというものが非常に多く、

時給面でも関西は関東より低く抑えられている印象が強いです。

 

 

 

このようにマクロ的にデータを分析すると、当たり前のデータになることが多いですが、

今回もそのような結果となりました。

ただし、今回の結果から、なぜ医師の偏在が解消できないかが分かる気がします。

 

 

いわゆる都心と言われている「東海地区」や「関東地区」はそれほど給与が安いわけではありません。

(関西地区を除く)

また、「北海道地区」や「東北地区」の給与が高いといっても、

せいぜい全国平均の100万円強高い程度です。

 

この程度ですと、都心に住みながら平均的な報酬でも良いと考える先生達の気持ちはよく分かります。

さらにいうと、都内に住む先生達の住所は「世田谷区」が非常に多いので、

「世田谷区」からアクセスの良い求人は人気が出ます(笑)

 

非常にミクロな話ですが、これが実情なのだと思います。

プライベートは都心の高級住宅街で過ごし、子供は有名な私立学校へ入学させ、

勤務先はドアtoドアで1時間以内。(あまり忙しくないところ)

 

ワークライフバランスを大切にするのであれば、この選択は仕方がないと思われます。

という訳で、われわれ人材紹介業者も、そういった求人を探すことにプライオリティが高くなります。

ニーズの高いところに経営資源を集中させるのは仕方がないことです。

 

「世の中の医師の偏在を無くしたい!」といった気持ちは常に持ち続けているのですが、

キレイごとばかり言ってられない事情がございます。

国が地方で勤務する医師に助成金を出してくれれば良いのですが、無理でしょうね・・・・


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