先日、女子医大の元理事長が逮捕されたというショッキングなニュースがありました。逮捕された元理事長の岩本氏は女子医大創業者の親族で、自身も産婦人科医院を経営する医師でもあったようです。
今回逮捕された容疑は「背任罪」です。
(背任)
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(こちらのサイトより抜粋)
この条文は刑法に記載のある罪ですが、それとは別に商法に「特別背任罪」というものがあります。背任罪よりも罪が重いものなのですが、今回岩本氏の容疑がどちらの罪で立件されるのか、注目したいと思います。
特別背任罪はこちら→https://ja.wikipedia.org/wiki/特別背任罪
さてその背任の容疑ですが、具体的には以下の疑いがかけられています。
- 岩本元理事長は、新校舎建設工事を巡り、建築士の男性に「架空の業務」の報酬として大学から不正に資金を振り込ませ、大学側におよそ1億2000万円の損害を与えた疑い
- 警視庁は、不正に支払われた報酬の一部が岩本元理事長に還流していたとみて、全容解明を進める
というものですが、今回の捜査に伴い行われた家宅捜索で関係各所から4億円相当の金品が見つかったという報道もあり(金塊10キロと現金2億円)、上述の容疑以外にも利益還流が行われていたことを想像させます。
このような事件は往々にして内部の人間の告発から露見することが多いですが、今回も発端としては2023年3月に卒業生らによる「不正な支出がある」という刑事告発だったようです。この告発に端を発し、勤務実績のない職員への給与支払いなど別件でも特別背任に当たる疑惑が出てきて、内部体制の不備が浮き彫りになった形です。
東京女子医大といえば、今回の元理事長の問題以前に昨今様々なトラブルで世間を賑わせていました。大きな問題だけでも、
- 2001年: 医療事故が発生。
- 2002年: 特定機能病院の指定を取り消されました。
- 2007年: 再び特定機能病院に指定されました。
- 2014年: 「プロポフォール事件」と呼ばれる医療事故が発生。
- 2015年: 再び特定機能病院の指定を取り消されました。
これだけニューストピックがあります。
そして2023年には医師や看護師など専門職の大量退職、医療事故発生が週刊文春の記事になっています。このような問題の根幹が内部体制の不備によるものではないかと考えられるのは当然の帰結かと思います。
我々のような転職支援会社が大学医局と直接やりとりをすることはまずないのですが、取引先の病院は医局から医師を融通してもらっているところも多いです。ここ10年くらい、弊社が取引している病院で女子医大が引き上げた、というケースを何件か聞きました。内部的な医師不足やガバナンスがうまくいっていないことはなんとなく推察はできていたのですが、そんなところにこの大きなニュースでした。
組織の大きい・小さいに限らず、極端な権力の集中や経営層に競争が働いていない特殊な環境の下では組織は簡単に腐ります。特に公益性の高い医療法人や学校法人ではその不備の責任は重く追求されるべきと考えています。
医師が転職をするにあたり、個々人の希望を満たすことはもちろん重要ですが、転職先の病院がどのような組織なのかということを知ることもとても重要です。
医療法人・医療機関がどのような体制で運営・経営をしているかというのはなかなか外からは見づらいことが多いので、そのような時に紹介会社を上手に使えばより良い転職が実現できる可能性が高いと思っています。
我々もリスクの少ない選択を一人一人の求職者の方に提供をし、より良い医療の環境が整う一助をになっていきたいと考えています。