先日、大手医師求人ポータルサイトにおいて、大幅なルール改正が行われました。
最初に内容を聞いたときは、「どんだけ殿様商売なんだ!?」と憤りを感じましたが、
よくよく考えると、嫌ならやめれば良い。ただそれだけのことです。
現在、そのポータルサイトには20社以上の人材紹介会社の求人が掲載されています。
求人が掲載されているということは、このポータルサイトにお金を支払って、
求人を掲載させてもらっているという立場です。
簡単な例え話をすると、すごく集客力のある商業施設(ららぽーとみたいなもの)で、
これまでは、家主が月々50万円の定額でテナントを貸してくれていました。
ところが、家主が突然「来客1人につき、1万円を納めてください。」と言い出したのです。
小規模な店舗にとって単独で集客するのは難しいため、なんとか「ららぽーと」内に留まろうとします。
しかし、来客が月に200名以上は来るので、実質的な家賃は月に200万円にも上り、
そのコスト負担には耐えられそうもありません。
仕方なく、その小規模な店舗は、別の場所に出店することを検討するのですが、
そこは人通りが少ないため、全く集客の見込みが立たず、
結局は商売が成り立たなくなり、店をたたむしかない状況に追い込まれます。
この場合、誰が悪いのでしょうか?
「家主」!と言いたいところですが、
ビジネスにおいては「小規模な店舗」の努力が足りなかったというだけの話です。
ちなみに、こういったルール改正というのは至る所で行われています。
スポーツの世界では昔から「日本イジメ」とも言われてきました。
スキージャンプや水泳などで日本人が勝ちすぎると、常にルール改正されてきたからです。
欧米人はしばしば平気でルールを変えます。
日本人はそれをズルいと感じてしまう。
しかし、ここで素直に従うだけでは不利な戦いを強いられるだけです。
欧米人と日本人の考え方の違いは、
「ルールをつくることも闘いの一部」と考えるか否かです。
欧米人にとって、ルールとは利害関係者間の決め事に過ぎません。
よって、自分に不利になったら変えるのは当然と思っています。
日本人はそれを「ズルい」と考えますが、ルールの意味と目的を正しく理解する必要があります。
実は、これらのことを的確に書いた本があります。
「ずるい!? なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか 」(ディスカヴァー携書)
この本の中では、以下のことが述べられています。
1、まずルールの意味と目的を理解する。
2、ルールが実情に合わなくなったら変更を提案する。
3、ルールつくりを率先して行う。
特に日本人は、最後の「ルールつくり」には無頓着です。
TTPにしても、早めに参加してルールつくりに参加することが重要なのに、
いつまでも国内少数派の意見を気にして、遅々として物事が進みませんでした。
また、日本人がルールを変えることをズルいと感じてしまう理由は他にもあります。
上記の著者によると、日本人がずるいと考えてしまう理由は3つ。
1、正々堂々と戦うことよしとする美学。
2、ルール作りは人任せで、そのなかで努力すればよいと考えてしまう習性。
3、ルールとプリンシプルの混同。
最初の話に戻しますと、
大家さんは、ビジネスとして自分たちに有利なルール改正を申し入れてきた訳です。
とすると、全てを大人しく受け入れることは、ビジネスを放棄することになります。
ルール作りという協議の場があるのなら、意見を伝えなければ負けです。
逆に、意見を伝える場が無いようならば、実力行使することも必要です。
売られた喧嘩は買うしかないのです。
ちなみに、わたしは喧嘩が嫌いなので、
自分の意見を伝えながら、ルールの隙間を探し、
ギリギリの線で対応していくことが得意です(笑)
「寄らば大樹の陰」ですよ。