今年もまた牛丼価格戦争が始まりました。
【牛丼戦争 2011年も1月11日ゴング鳴る】 By JC-NET
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大手牛丼チェーンのすき家、吉野家、松屋フーズの各社は、
1月11日から17日まで牛丼の値下げ合戦を繰り広げる。
主力の牛丼並盛りの価格は、
すき家が280円を250円に30円値引販売。
吉野家は380円を270円に、松屋も牛丼並320円を240円に、
松屋は期間限定ながら最安値更新となった。
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これで本当に採算が取れているのか不安になる価格です。
期間限定なので、おそらく採算は取れていないのでしょうが、
こんな価格で牛丼屋さんの経営は大丈夫なのでしょうか?
牛丼チェーンといえば「吉野家」「すき屋」「松屋」ですが、
その店舗数は2010年8月時点で、すき家は約1500店、吉野家は約1200店、松屋は約800店。
わたしの世代では、牛丼と言えば「吉野家」でしたが、時代は「すき屋」なのです。
いずれのチェーンも出店ペースを上げており、現在は更に増えていると思います。
ちなみに、業界4位は関西をベースにした「なか卯」ですが、現在約500店あります。
実はこの「なか卯」、「すき屋」の親会社「ゼンショー」の完全子会社です。
「なか卯」+「すき屋」=約2000店 です。 恐るべし「ゼンショー」ですね・・・
さて、牛丼価格戦争は昔から継続されていますが、その変遷はどのようなものなのでしょう?
実は、最初に仕掛けたのは「松屋」だといわれています。
下記のグラフは年度ごとの「牛丼・並み盛り」の通常価格の推移です。
※2010年までは期間限定価格除いていますが2011年のみ期間限定価格
2000年に松屋が大幅値下げを実施し、翌年それに引きずられるように他社も追随しています。
しかし2001年からは、すき屋がプライスリーダーとなり、
期間限定価格を除いた通常価格においては、常に最安値で勝負してきました。
(吉野家は2004年のBSE事件以降、低価格路線とは一線を画してきました。)
その結果、牛丼チェーン1位の座を吉野家から奪ったわけです。
業績にもはっきりと表れています。
下記のグラフは「吉野家」と「ゼンショー」(すき屋の親会社)の業績比較です。
左が売上高のグラフですが、2000年から横ばいもしくは微増の「吉野家」に対して、
2000年にわずか170億の売上だった「ゼンショー」は、
2009年には3,100億の売上を達成しています。
※ゼンショーの売上は、全てが「牛丼」の売上ではありません。
利益に関しても、吉野家の売上を上回った年から一気に増加しています。
価格破壊によるシェア拡大で、バイイングパワーの向上させ、コスト削減により、
更なる安値で勝負することができるという、素晴らしい好循環が生まれています。
ただ、ここへきて「ゼンショー」の成長にも陰りが見えており、
借金を大量に抱えてM&Aをやりまくったツケが回ってきた感じもするので、
予断は許さない状況です。
そんな訳で、低価格戦略は競合相手が潰れるまで続けるしかないのでしょう。
何事にも適正価格というものがあるのですから、なんとかそこで収まらないものでしょうか?
昔の人なら「談合」していたのでしょうが、コンプライアンスが重視される今の時代、
そんなことはありえないのでしょう・・・
これぞ正に 食うか食われるかの世界 「弱肉強食」 「肉食が巣食う資本主義」 ですね。