医師の休暇取得

 

いつもメッセージをご覧いただき有難うございます。

今回は連休中ということもあり、「お休みネタ」を書かせていただきます。

  

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まず、上記グラフは国別の「有給休暇付与日数」と「有給休暇消化日数」です。

年間の「付与日数」において、日本は主要9か国中8番目の「15日」と少ない日数になっています。

そして、「消化日数」においては断トツのワースト1位で8日間です。

 

1位のフランスは34日の有給休暇を消化しており、国民性の違いを伺わせます。

被災時においても出勤を試みる日本のサラリーマンは、まさに「企業戦士」であり、

世界の中でも勤勉さが際立った希少な存在といえます。

 

それでは、更につっこんで、医師の有給休暇消化状況はどうなっているのでしょうか?

 

 

結論から申し上げますと、一般のサラリーマンよりも遥かに消化数が少ないのが現状です。

医師によっては、「有給休暇」の存在すら把握していない方もいます。

また、把握していたとしても、周囲の目を気にして休みを取得できないのが現実です。

 

 

以前、民間の調査機関が行った実態調査によると、

3割の医師が有給休暇を1日も消化しておらず、約4割の医師が5日未満の消化となっていました。

要するに、約7割の医師が有給休暇を5日未満しか消化していないということになります。

 

有給休暇を消化しにくい理由として「人員不足により、代診してくれる医師がいない」

「職場が休めるような雰囲気じゃない」「休むとその分仕事が山積みになる」などが上位に挙がるなど、

医師の勤務実態がいかに過酷かがよく分かります。

 

特に、外科系の先生は休みが取りにくいようです。

これは有給休暇に限らず、通常の休みも同様で、まともに休める日数が3/月なんて話もザラです。

その理由は、手術が絡むからです。

 

外科医は自分が関わった患者さんの手術については、手術の前日から術後数日は休めません。

代わりに診ていただける医師も少ないため、ほとんど自分ひとりで切り盛りすることになります。

代診を頼めたとしても、オンコール等があるため、気の休まることは無いといえます。

 

内科医についても、外科医ほどではないですが、代診を頼みにくいことが多いようです。

代診なしで外来日に休んでしまうと、外来患者さんを他の診察日に振り分ける必要があり、

他の日が異常に混雑してしまうことになり、なかなか休めないというのが現状のようです。

 

 

また、出産を経験した女性医師については、「産前産後休暇」ですら取得しにくいという話もあります。

「育児休暇」となると取得者はさらに減り、1/4程度しか取得しておらず、

結局のところ、休暇を取得できないため、一旦職を失わねばならない状況があるのです。

 

 

 

このような調査結果から、医師の世界では「労働基準法」は守られていないのが現実だといえます。

 

 

以前のメッセージでも記載しましたが、有給休暇には下記の法律が決められています。

6ヶ月間以上の継続勤務と所定労働日の8割以上の出勤の要件を満たした労働者には、

勤続年数に応じて10日から20日の年次有給休暇を与えなければならない。

                                (労働基準法39条)

【継続勤務年数】  0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5年以上

【付与日数】      10日 11  12  14  16  18  20

 

 

ただし、これはあくまでも「付与日数」の話であり、「消化日数」ではありません。

実は、有給休暇消化日数に関する法律の決まりはありません。

さらに、この有給休暇は「労働関係の存続を前提としたものである」という取り決めがあります。

 

 

つまり、退職して医療機関との関係が無くなってしまえば、労働としての契約もなくなり、

有給休暇は自動的に消滅してしまうというわけなのです。

だから、雇用されている間に使わないとそれだけ損をしてしまうのです。

 

おそらく、ほとんど医師が繰越を含めて3040日の有給休暇を保有しています。

よって、もし医療機関をご退職される際には、

退職日から遡って最終勤務日を設定されることをお勧めします。

 

それについては何の後ろめたさを感じる必要はありません。

どうしても退職日のギリギリまで勤務して欲しいと言われた際は、

有給休暇を買い取ってもらうというやり方もあります。(交渉次第ですが)

 

有給休暇というのは、法律で定められた「休む権利」ですから、

消滅してしまうまえに、使い方を考えましょう。

 

とはいえ、集団で働く場合は周囲との兼ね合いもあると思います。

組織の調和を乱さない程度に、代診を見つけるとか、上手な言い訳をして休むのが得策でしょう。

「仕事に対する責任感の強さ」は重要ですが、オンとオフのバランスはもっと大事だと思います。

 

 

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