本日も八百長ネタで。
相撲協会で八百長が取り沙汰されていますが、
八百長に似た表現で「談合」というものがあります。
「談合」とは、官公庁の入札等で過去頻繁に行われていましたが、
ここ最近はあまり耳にしなくなってきたように思います。
山梨の中央自動車道にある「談合坂」という名前の由来は、
かつて近郊の村の寄り合い場所として、話し合いが行われたということが有力な説です。
そもそも「談合」という言葉の意味は、「話し合うこと」という前向きなものでもあり、
悪いイメージがついたのは、建設業界等の官製談合が表面化したからです。
かつてわたしは建設業界の営業をしていたことがあります。
その際、「談合」の片棒を担いでいたこともあります。
わたし自身はメーカーの営業マンだったので、直接入札に参加することはほとんどありませんでしたが、
代理店となるゼネコンや地場の土建屋が、入札時に高値で落札できるよう、裏で動いていました。
今やれば確実にお縄頂戴となりますが、
落札予定価格を入札業者に代わって役所の担当者から聞き出したりしていました。
当時は何の罪の意識もなく、代理店が高値で受注できるよう、必死に動いていました。
まだ社会人成り立ての私に先輩社員が言った言葉を今でも忘れません。
「世の中の入札の9割以上は談合が行われている」
当時「談合」が成り立っていた最大の理由は、入札に関わる全ての人にメリットがあったからです。
本来、役所の職員は、図面作成や工程管理や品質管理等の仕事を自分でやらなければならないのですが、
「談合」に目を瞑ることで、業者に全てを丸投げすることができました。
おまけに、キックバックをもらう輩もいたので、役所が率先して「談合」を仕切っていたケースもあります。
(これを官製談合といいます)
業者にとっては、業界全体が潤えば良いという考え方があり、無用な争いを避け、
その工事で得られる最大の利益を、業界全体で分け合おうとする意識がありました。
よって、一つの工事で、入札に参加した全ての業者(10社以上)が串刺しになり、
何もしていないのに大きな売上と少ない利益が入ることが多々ありました。
このような状態が数十年続いていた訳ですが、ここ10年前から一気に「談合廃絶」の動きが高まり、
大手のゼネコンも表向きは「談合には参加しません」と公言するようになりました。
また、様々な要因から、「談合」が成り立たない時代に突入したのです。
・法律改正
官製談合防止法の中で、公正取引委員会は談合を密告した業者に課徴金を減免する措置を講じました。
具体的には、最初に報告した1社は100%減額、他の2社は30%減額となります。
この法律により、落札予定業者から漏れた業者が密告するようになり、秩序がなくなりました。
・総予算の削減
総予算が削減されたことにより順番が回ってこない業者が出てきました。
そしてそのような業者が入札でガチンコ勝負をするため、談合が成り立たなくなりました。
・インターネットの普及
最近の入札はWEB上で完結するものも多くなっています。
そうなると、どの業者が入札に参加するか分からないので、実質的に談合はできません。
相撲協会の八百長も電子メールが問題発覚の原因になりましたが、
官製談合においてもインターネットの普及が命取りとなりました。
ネット環境が旧態依然とした秩序を壊していくことは、時代の流れだとは思いますが、
なにやら淋しい気持ちにもなります。
昔は秩序を守るために、良い意味での「話し合い」を時間をかけてしていました。
正直わたしは「談合」の全てが悪だとは思いません。
なぜなら、「談合」で落札業者を決めるときは、
きちんと汗をかいた業者がチャンピョンになるという暗黙のルールがあったからです。
今の時代のように、WEB入札で一瞬で勝負が決まるようだと、まずは金額ありきとなり、
コストを下げるために手抜き工事が横行することにもなります。
また、発注側の担当者と受注側の担当者の意思疎通が無くなり、
最終的には図面通りに物が出来上がらないということにも成りかねません。
わたしが言いたいことは、人間同士のアナログなコミュニケーションも必要だということです。
全てを合理的に進めることは素晴らしいことですが、一方では危険な面があると思うのです。
無駄も大いに結構。
うちのメンバーも仕事中いつも無駄口ばかりたたいています。
ちょっと気になるときもありますが、非常に良いことだと思います(笑)