上記グラフは随分前のデータになりますが、OECD諸国の人口千人あたりの医師数と看護師数です。
医師不足といわれて久しい日本国ですが、国の対策は進んでいるとは言い難い状況です。
マクロ的に見た医師不足は周知の事実なのですが、
「地域間や診療科目間での偏り」が更なる問題なのだと感じます。
先日、医局の人事の方と話をしていた際も、科目による過不足感は否めないと仰っていました。
その大学では、医局内においても眼科や皮膚科は充足しており、もって行き場がないとの話でした。
また、地域間の偏りは以前からいわれていることですが、需給調整機能として役割を期待されている人材紹介会社も、
この問題の解決にはほとんど貢献できていないと思われます。
理由は単純です。
医師が不足している現状では、医師の要望を叶えることがNo1プライオリティとなるからです。
都内を希望している医師に郊外の医療機関を紹介したら、その瞬間にソッポを向かれてしまいます。
わたしたち人材紹介会社は、医療機関と医師のマッチングが仕事なのですが、
全くもって希望条件に含まれていない医療機関をお勧めすることは、ほぼ不可能です。
(少しでも興味を持っていただけている状態であれば、医療機関側の要望をお伝えしますが)
それでは、どうすれば医師不足問題を解決できるのか?
まずは絶対数を増やすことですが、それだけでは根本的な解決には成り得ないでしょう。
文科省が2009年度に大学医学部の総入学定員枠を増やす方針を打ち出しましたが、
本当にそれが問題解決策として機能するのかどうかは疑問があります。
ちなみに、下記表は直近10年間の医師国家試験の合格者数と合格率です。
合格者の絶対数はこの2年間で減少中です。
これが今後どこまで増加するか見ものですが、おそらく医師不足を解消するには至らないでしょう。
また、絶対数が充足したとしても、地域間や診療科目間における偏りは解消できないと思います。
それらを解決していくためには、専門性の高さや手術の難易度によってインセンティブを設け、
今以上に医師の報酬格差をつけていくことが必要なのではないでしょうか。
正直、弊社に寄せられる求職者(医師)の要望は非常に似ています。
裏返せば、人気のある求人案件のカテゴリーは数通りに絞られるといっても過言ではありません。
当然、わたしたちはそのような人気求人案件を探して参りますが、
活性化しているのはごく限られたセグメントだけだと思うのです。
事業運営者としては、一部のセグメントだけでも活性化していることは有難いのですが、
本当にこの状況が長く続くことが良いことなのかどうか?疑問も残ります。
とはいえ、わたしたちも自分たちのお給料を稼がないといけないので、
先生方の欲している求人を、せっせと開拓していくのでした(苦笑)