医師への過剰接待「禁ず」

本日の日経新聞で以下の記事が記載されていました。

医師の皆様もご興味を持たれたのではないでしょうか?

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 武田薬品工業、アステラス製薬、エーザイなど製薬各社は来年4月から医薬情報担当者による

 医師への接待に関する自主規制を強化する。飲食は1人5千円を上限とし、ゴルフなどの遊興は

 原則禁止とする。米国ではオバマ政権が製薬会社と医師の癒着をなくす政策を推し進めており、

 米ファイザーなどは数年前から日本でも過剰接待をやめている。

 日本の各社も自主規制の強化で対応する。

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なにを今さら?と思いましたが、医療費の高騰を受けてこのような流れになったのだと思います。

米国では、製薬会社による医療機関や大学への資金提供は、内容を情報開示する必要があります。

日本の製薬会社もその流れに乗って、2013年には同様の情報開示をするようです。

しかし、医師個人に対するお金の流れを見極めるのは難しいため、

上記のような業界独自の「自主規制強化」ということになったのだと思われます。

ちなみに、具体的な基準は以下の通りです。(日経新聞より引用)

 

MRの医師接待の新たな基準案】

                                1人当たりの上限金額

 ・自社製品に関わる講演会後の立食パーティ            2万円

 ・講演会などの出席者を慰労する飲食回              2万円

 ・商談や打ち合わせを伴う飲食                      5千円

 ・製品説明会の弁当や茶菓子                      3千円

 ・2次会                                   禁止

 ・カラオケ                                   禁止

 ・ゴルフ                                                                 禁止

 ・観劇、スポーツ観戦                            禁止

しょうもない業界ルールだと思いますが、これを必死になって定めているのは、

「医療用医学品製造販売業公正取引協議会」、略して「医薬品公取協」です。

今年の8月までに具体的な基準をまとめ、来年4月までに各社で社内基準を作るようです。

違反した場合の罰則は、業界の自主規制団体から受けるようですが、

どこまで厳密に運用できるか疑わしいものです。

しかし、このような事態になると、MRの仕事が無くなるのではないか?と危惧します。

そもそも、MRは接待が仕事のようなものですよね?(私の認識違いならすみません)

接待が無くなり、早く帰れて喜ぶMRもいるかもしれませんが、職が無くなる危険性があります。

MRが医師を接待漬けにして高い新薬を売り込んできたから、優先的に高い薬を使っていた訳で、

これが無くなると、ジェネリックのシェアが伸びるのではないでしょうか?

そして医療費が安くなるという好循環ですが、果たしてそんなに上手くいくかどうか疑問です。

なぜなら、新薬を開発する製薬会社が、自らの首を絞めるようなことをする訳がないからです。

ちなみに、企業の交際費は、3年連続で減っているそうです。

2011429日に公表された国税庁調査の結果がそうなっています。

全国の企業が2009年度に取引先の接待などに使った交際費は、

前年度比7.1%減の約29900億円となり、3年連続で減少したことが国税庁の調査で分かりました。

年間の交際費では、約62千億円で過去最高だった1992年と比べ半減したそうです。

ここで、「交際費」という言葉が出てきましたが、

会計用語では得意先などの事業関係者に対する「接待費」その他の支出を、

「接待費」ではなく「交際費」もしくは「接待交際費」と呼びます。

これに対して、似たような経費項目で「会議費」というものがあります。

「会議費」とは、会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を

供与するために通常要する費用です。

大企業においては、経費を「交際費」にするか「会議費」にするかで大きな差があります。

その理由は、「会議費」は損金算入でき、「交際費」は損金不算入だからです。

よって、会計処理の際、経理担当者はできるだけ「会議費」にしようとします。

上記の二つをどのように仕分けするかというと、

飲食費のうち、15千円以下のものについては、「会議費」扱いで良いというルールがあります。

よって、税務署は領収書ごとに15千円以下かどうかの審査をしてくるため、

誰と何人で行ったかなどの明細をわかるようにしておかなければなりません。

ただし、これは資本金1億円より大きい大企業だけの話になります。

実は、資本金が1億円以下の法人は、損金算入限度額というものがあり、

上限600万×90%540万までは、「交際費」を損金算入しても良いルールがあります。

そのため、中小・零細企業にとっては、「会議費」と「交際費」の区分に大した意味はありません。

だからといって、経費をふんだんに使っていいという訳ではありません。

利益も出ていないのに、経費を使ってしまったら元も子もないですからね。。。

経費を使えるのは、ちゃんと利益を出している会社に限られます(笑)

それにしても、製薬会社と人材紹介会社では、同じ医師を対象にしているビジネスなのに、

経費の使い方が全然違うことに違和感を感じます。

正直、人材紹介会社では製薬会社のMRのような過剰接待はありえません。

その理由は、接待費は動くお金の大きさに比例するからだと思われます。

製薬会社は1つの取引で億単位のお金が動いていますから、

接待で大きな経費を使ったとしても、元が取れるということでしょう。

しかし、その経費を誰が支払っているかというと、

巡り巡って、一般消費者(患者さん)なんですけどね。。。

もっと言うと、健康保険を負担している国民1人1人ということになります。

接待が過剰な業界は、誰かの犠牲の上に成り立っています。

ストップ ザ 「過剰接待」 です。

でも、ちょとした接待はあった方が、仕事の楽しみが増えることは事実なので、

接待を全て止めてしまうことには反対です(苦笑)