医師へのリベート

いつもブログをご覧いただき有難うございます。

今回は医師へのリベートについて記載させていただきます。

 

 

「リベート」とは別名「キックバック」とも呼ばれ、あまり良くないイメージがあります。

その意味は、謝礼名目で授受される金銭のことであり、単純に「謝礼」といっても差し障りはないはずですが、

どうも胡散臭い響きがあります。

 

「リベート」の種類には3種類あります。

 

「バリューディスカウント」:商品を大量に仕入れた際に支払者に戻される金銭のこと。

「インセンティブ」:商品を売るごとに販売者がメーカーから受取る金銭のこと。

「キックバック」:契約が成立した見返りとして、契約担当者などにこっそり現金(裏金)を渡すこと。

 

上記の2点は極めて合法的であり、事前にルールが決められていることが多いです。

携帯電話の販売会社に対して、ドコモなどが支払うのは「インセンティブ」です。

また、沢山販売した業者が、メーカーの仕入れ価格を下げてもらう「バリューディスカウント」は健全な状態です。

 

唯一、「キックバック」のみがグレーなのですが、

これも事前に契約書等でルールを決めておけば、法律違反にはなりません。

ただし、公務員や議員などの公的な仕事に携わる人はNGですし、

民間企業であっても、対企業ではなく対個人に渡すことは、限りなくクロに近いです。

 

 

この「キックバック」が横行していたのは、バブル時代の建設業です。

役所の発注担当者や、ゼネコンの所長などは、億単位の現場を担当すると

一軒家が建つといわれた時代もあります。

 

中国では未だにこの傾向が強く、役所の偉い人が次々にリベートを抜いていくため、

実際の工事にかけられる費用が、発注費用の1割にも満たないということもあるようです。

そのせいで、「おから工事」が横行し、耐震性のない建物が建設されているといわれています。

 

 

今回の題名である「医師へのリベート」ですが、まず最初に頭に浮かぶのは「手術への謝礼」です。

また、製薬会社に対する「口利き料」などもよく耳にします。

 

前者は手術の技量に対する「謝礼」ですから、それほど悪いことのようには思いませんが、

脱税という観点からはNGです。

また、後者は明らかな違法行為なので、バレたら捕まります。

 

 

では、人材紹介会社が医師に対して支払う「リベート」は法的にはどのような取り扱いなのか?

(この場合の「リベート」とは、医師が転職した際に紹介会社が医療機関から受け取る紹介料を、

 医師に何割かキックバックすることを言います。)

 

 

結論から言うと、違法ではありません。

 

 

現に看護師の業界では、大々的に看護師への「リベート」の支払いが行われています。

ディップという企業におきましては、医療機関から受取る60万(均一)の成功報酬に対して、

30万のリベートが「転職支援金」という名のもとに、看護師に支払われています。

 

要するに、紹介会社の売上の半分が、紹介会社から個人に支払われている訳です。

これで事業が成り立つのか不明ですが、おそらく大赤字でしょう。

ディップの株主総会では、シェアを拡大するためのキャンペーン企画ということになっていますが、

成功報酬の半額が個人にキックバックされることが当たり前になってしまうと、

紹介会社は潰れてしまいます。

 

とはいえ、個人にとってこのサービスは有難い限りです。

無料で転職支援サービスが受けられ、転職が成功した暁には、30万円ものお金が振り込まれるという

願ったり叶ったりのサービスなのですから・・・

 

しかし、このように企業側が赤字覚悟のサービスは絶対に長続きしません。

商品やサービスには適正価格というものがあります。

いずれは、この「適正価格」に落ち着くものと思われます。

 

また、もしもこの「適正価格」が半額キックバックであるならば、数を増やす必要があります。

そうなりますと、看護師の転職を助長する動きが必ず出てきます。

場合によっては転職しなくても良い場合でも、無理やり転職を促す輩が出てきます。

 

看護師個人に関しても同様に、転職するたびに30万を受け取ることが常態化すれば、

それを計算に入れて、1年ごとに転職する看護師が増えてくるはずです。

結果的に、医療機関側は多くの紹介料を支払うことになり、手間だけが増えることになります。

 

明らかにこの状態は不健全です。

 

医師の人材紹介でも、このような「転職支援金」という「リベート」を配る兆しがありますが、

これについては賛否両論あると思います。

わたしはこれに対しては否定的ですが、ライバルがやるようならば、対抗手段を打つしかありません。

 

正直、それが紹介会社にとって差別化になるとは思えません。

しかし、差別化の可能性が全く無いとも言えません。

一度医師の皆様に、転職支援サービスにおいて、紹介会社からの「リベート」が必要か否か聞いてみたいです。

 

 

無いよりあった方が良いと言われそうなので、聞くだけ無駄ですかね?(苦笑)