ネーミングライツ

今やスポーツの世界では当たり前となった「ネーミングライツ」ですが、

地域のシンボルである代表的なスタジアムの名前が毎年のように変わるのは考え物です。

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そもそも、「ネーミングライツ」とは「命名権(めいめいけん)」のことです。

施設やキャラクターなどに対して名称をつけることのできる権利のことを言いますが、

1990年代後半以降、スポーツ、文化施設等の名称に、「企業名」や「ブランド名」を付けることで、

広告費を得るようになったことから、広告ビジネスとして確立しました。

従来から、スポーツの大会で、スポンサーの名称を付けて、冠大会とするする形は存在していましたが、

1990年代後半頃から、アメリカにおいてスポーツ施設等に「企業名」を付けるビジネスが広がりました。

代表的なのが、米国の「メジャーリーグ」のスタジアムです。

それらのスタジアムに企業名が命名され、認知度向上にコストパフォーマンスを発揮したことから、

他のスポーツ種目やヨーロッパのスポーツ界へと広がっていったそうです。

日本においても2000年代前半ぐらいから、地方自治体が持つ公共施設の管理費を埋めるための手段として、

多くの自治体で「ネーミングライツ」が導入されました。

わたしの住んでいる横浜市においても、中田市長時代に多くの名前が変更されました。

※現在横浜市で導入中のネーミングライツ

  日産スタジアム】        (正式名称:横浜国際総合競技場) 

  【ニッパツ三ツ沢球技場】   (正式名称:三ツ沢球技場) 

  【はまぎん こども宇宙科学館】 (正式名称:横浜こども科学館) 

  【俣野公園・横浜薬大スタジアム】(正式名称:俣野公園野球場) 

  【ベイクォーターウォーク】  (正式名称:ポートサイド人道橋) 

 

施設等の管理者にとっては、命名権を販売することにより「収入」が得られるメリットがあり、

命名権を購入する企業にとっては、スポーツ中継やニュースなどで命名した名称が露出する機会を得られ、

認知度が向上し、宣伝効果が見込まれます。

プロ野球においては、パリーグの球団に多く見られます。

以下に現在の状況をまとめてみました。

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パリーグは、西武と日ハムを除いた4/6球団が既に導入済みです。

日ハムも現在募集中であり、近い将来「札幌ドーム」ではなくなります。

西武は2007年から「グッドウィルドーム」と命名されていましたが、

2008年にグッドウィルが会社ごと消滅したため、元の「西武ドーム」に戻されました。

西武の例は、命名権の危うさを露呈した形になりました。

命名した企業の評判が落ちると、スタジアムや球団のイメージまで悪くなります。

よって、命名権を販売する際は、コストだけでなく企業イメージも含めて、慎重に企業を選ぶ必要があるでしょう。

それにしても、パリーグと比較して、セリーグは命名権を販売している球団は広島の1つだけです。

その理由は、セリーグは資金的に余裕があり、リスクを冒してまで販売する必要がないからといえます。

また、ヤクルトや横浜の場合、球場が公的機関の持ち物であり、それを借りている球団が、

自分の都合だけで命名権を販売することができないからだと思われます。

命名権を販売するには、スタジアムの所有者(球団、球団の関係会社、地方自治体など)が、

命名権の販売に同意していることが前提になるため、収益の配分などの問題もあり、

調整が難しくなるケースが多いと想像されます。

しかし、この「命名権」。

わたしとしてはあまり好きになれません。

甲子園は甲子園であって欲しいですし、東京ドームは東京ドームであって欲しい。

広島の「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」なんて、明らかにおかしいです。

なんでもかんでも収益のために名前を売ってしまうのも考え物だと思います。

ちなみに、渋谷の「公衆トイレ」も14か所で命名権が販売されています。

株式会社アメニティという会社が一番最初に3年間の命名権を獲得したのですが、

その公衆トイレの名前は、「区役所前 トイレ診断士の厠堂(かわやどう)

これって企業のイメージUPになるんでしょうか???

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