頭の良すぎる人は経営者には向いていない

 

「頭の良すぎる人は 経営者に向いていない。」

 

とある雑誌に掲載されていた一言なのですが、

非常に心に刺さる言葉だったのでメモしました。

この言葉の主は、大手スナック菓子メーカー「カルビー」の「松本晃CEO」です。

 

カルビーの歴史を紐解きながら、この言葉の意味を探ります。

 

カルビーは1949年、広島県広島市で、松尾糧食工業株式会社として設立されます。

会社名のカルビーは、当時の日本人に不足しているとされたカルシウムの「カル」と、

ビタミンB1の「ビー」を組み合わせた造語だそうです。

 

1964年に発売された「かっぱえびせん」が大ヒットし、カルビーの名が世に知られるようになります。

1973年に本社を広島から東京に移転し、社名をカルビー株式会社に改めます。

2005年に3代続いた同族経営をやめて、創業家外の社長兼CEOとして中田康雄氏が就任します。

 

そして20096月に中田康雄氏(当時66)は相談役に退きます。

創立60周年を迎えるのを機に経営陣の若返りを図り、

会長兼CEOにはジョンソン・エンド・ジョンソン元社長の松本晃氏(当時61)が就任したのです。

 

前任の中田CEOの経営手法は、「コックピット経営」と呼ばれ、多くのデータを重視する経営でした。

コックピット経営とは、事業ユニットごとの膨大な数値データをグラフ化して毎週更新し、

全従業員に共有して様々な判断に活かす手法です。

(飛行機のコックピットには複雑な計器が沢山あるのでこのように呼ばれています。)

 

ところが、松本昇氏がCEOに就任すると、指標を減らす「ダッシュボード経営」に移行しました。

このネーミングは車のダッシュボードに例えて名付けられたそうですが、

車のダッシュボードには必要最低限のメーターしかないことが由来しています。

 

わたしが以前所属していた企業でもコックピット経営同様の経営手法が取られていましたが、

複雑すぎる数値は現場を混乱させるだけでした。

これではいかんな~っと思っていた私も、上には逆らえず、従順な社員を演じていました()

 

KPI Key Performance Indicator 】 重要業績評価指標とは、数を絞ることで効果を発揮します。

特に現場は忙しいので、指標を減らすことに意味があります。

よって、経営者の仕事とは、その時々で会社が重視する数値を絞って従業員に伝えることなのです。

 

 

ここで冒頭の言葉がよみがえるのですが、

頭が良すぎる経営者は、物事を複雑に考える癖があります。

それを人に押し付けると、従業員は経営者の考えを理解できず、進むべき方向が分からなくなります。

 

 

そんな状況において、松本昇CEOのお言葉は非常に重みが出てくるのです。

「私みたいに”中の上”ぐらいの頭が経営者には向いているんです。」

 

 

経営を単純化し、目標を絞ることの重要性を再認識する一言でした。

 

 

P.S.ちなみに、松本昇CEOは京都大学農学部修士課程を修了されています。

  決して”中の上”の頭ではありません()