“なまぽ”の実態


「なまぽ」とは、生活保護(せいかつほご)の2ch用語です。

 

以前から問題となっていましたが、ここへきて注目度が増しています。

その理由は、吉本の芸人「河本準一氏」の母親が不正受給していた問題がスクープされたからです。

一個人として、ここまでマスコミから叩かれることに違和感を感じますが、

一個人とはいえ、芸能人は公人として振る舞う義務があるため、致し方ない面もあるのでしょう。

 

 

今回の問題は誰に責任があるのか、いろいろと考えさせられます。

 

 

まず第一に、不正受給していた河本氏の母親は確信犯だと思います。

次に、その状況を把握しながら放置した河本氏自身の責任問題もあります。

最後に、生活保護受給を継続的に許可した役所の担当者も責任を問われるでしょう。

 

生活保護費用の申請条件は大まかにまとめると以下の内容となります。

・収入が最低基準以下であること

・財産がないこと

・道理的に働けないこと

・親族など助けてくれる人がいないこと

 

これに当てはめると、河本氏が芸能界で売れて収入が増えた段階で、

生活保護を辞退すべきだったという結論に至るでしょう。

もしくは、役所の担当者が継続的に許可しなければ良かったということになります。

(ただし、現時点で生活保護者に対する親族の扶養義務はありません。)

 

生活保護受給者の人数は2011年には1989,769人、1436,046世帯となり、

過去最高だった昭和26年度(2046,646人)に迫る勢いです。

生活保護受給者の増加に伴い、貧困ビジネスや不正受給も増加しており、社会問題となっています。

 

下図は都道府県別の「世帯数100あたりの受給世帯数ランキング」ですが、TOPは断トツで大阪府です。

大阪府の中で生活保護比が最も高い大阪市では、人口の約4.47%(約12万人)が受給しており、

市税収入6868億円に対して、生活保護費が2443億円となり、市の財政をもろに圧迫しています。

(橋下市長がやっきになって改善しようとしているのは当然だといえます)

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また、生活保護費はいくらぐらいもらえるかというと、世帯人員別と地域別(級地)によって分類されます。

下図は支給額の具体例となりますが、級地は6段階に分けられ、1級地は大都市及びその周辺市町、

2級地は県庁所在地をはじめとする中都市、3級地はその他の市町村が想定されています。

地域別では生活コストの高い都心ほど高くなり、世帯人員別では高齢者単身世帯が最も低くなります。

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河本氏の母親は高齢者単身世帯なので、額としてはさほど大きい額ではありませんが、

問題は、河本氏の母親だけでなく、姉・伯母1・伯母2の4世帯がそれぞれ生活保護費を受給していたことです。

しかも、この4人は隣り合わせの家に住んでいるのに、わざわざ別々の家に住んでいたとのこと。

 

その理由は、生活保護には「同一世帯認定」という原則があって、隣に姉や娘が住んでいても、

別世帯であれば各個に生活保護を受けることができるからです。

要するに、別々に住むことによって、生活保護費として貰える総額を増やしていたことになります。

 

 

こういう実態を見る限り、計画的犯行と言われても仕方がないでしょう。

 

 

今回はたまたまマスコミのリークにより問題化しましたが、

このような問題は生活保護申請については日常茶飯事だと思われます。

(この点においては、河本氏だけが責められていることは可愛そうな気もします。)

 

それでは、これらの問題を解決する際、何から手を付ければ良いのでしょう?

性善説で言えば、究極な貧困状態になるまで受給申請をしないことですが、それだと手遅れになる場合もあります。

実際に生活保護が受けられるレベルなのに、自ら手続することができずに餓死するケースもありました。

 

だからといって、多少余裕があるレベルなのに受給申請をして許可されてしまうと、

その後、環境の変化により本当は働けるようになったとしても、働かないケースが多発すると思われます。

よって、これらの判断は自分でせず、生活保護現業員「ケースワーカー」の判断に委ねることになります。

 

しかし、地方自治体において、このケースワーカーの人数が不足しているのです。

さらに、現業員の経験不足もあり、担当者の絶対数と質の低下が問題視されています。

これらの現業員は申請者からの恫喝や脅迫などもあるため、役所の中では敬遠されるポジションです。

本来、現業員には広範な福祉制度に対する高い知識力が求められますが、新人が担当することもあるようです。

このような実態から、不正受給するケースが後を絶たないのです。

 

 

この不正受給を止めさせるための手段は、審査を厳しくし、罰則も厳しくするしかないのですが、

そもそもこのような不正受給をしようと思う「姑息な考え」が嫌らしいと思います。

不正受給とは、真剣勝負で「イカサマ」をするようなものです。

 

審査に通れば問題ないという考えではなく、

不正をしてまで生活保護を受けることは恥ずかしいことだという考えをなぜ持てないのでしょうか?

最も重要なことは、この「道徳観」を持つことだと思います。

 

不正受給問題があることによって、本当に生活保護を必要としている弱者が審査に落とされることもあります。

本来は弱者のための救済策なのですから、それを悪用することはNGだと思います。

(お金のために非弱者が弱者を装うことは、あってはならないことです。)

 

 

ちなみに、同じお金を貰うでも、鳩山さんのケースは脱税行為です。

親族からお金を貰うこと自体は誰にも迷惑をかけていませんが、

社会的に強者である「お金持ち」はきちんと納税してください。


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