「原理原則」の経営 「稲盛和夫」

先週は子供が生れたこともあり、ブログ更新をサボってしまいました。

今週は、いつものペースに戻そうと思います。

 

さて、題名に「原理原則」と記載しましたが、
経営者の方々からこの言葉を聞くことが多いと感じます。
京セラやKDDIを創業し、今はJALの再建に携わる「稲盛和夫」氏もよく話しておられます。

しかし、この「原理原則」とはなんぞや?と問われると言葉に詰まります。

稲盛氏いわく、「原理原則」とは、「人間として正しいことをするという哲学」だそうです。
稲盛氏は、リーダーに必要なものは、「能力」よりも「人格」だと考えています。
どんなに「能力」の高い人であっても、「人格」がゆがんでいたら、
もたらされる結果は、能力が高い分だけマイナスが大きくなると言っています。

わたしもこの考えに同感です。

これまで、能力的に優秀な方とお仕事をする機会は多かったのですが、
みなさん、どちらかというと人間性がゆがんでいた方が多かった気がします。
おそらく、能力的に突出してしまうと、常人の考えや感じ方が分からなくなり、
知らず知らずのうちに人間性がゆがんでいくのでしょう。。。

なので、能力的に高いにも関わらず、人格的にも尊敬できる人に出会ったときは感動ものです。
この状況は、医師の場合も同様であり、医師で人間的に魅力的な方にお会いできるとホッとします。
なぜなら、医師は能力が高い人の象徴であるがゆえ、変わった方が多いからです。

しかし、「能力」と「人格」のバランスを取ることは非常に難しいことだと思います。

「素晴らしい人格を持っている」と言われる人たちは、他人を思いやる気持ちを強く持っています。
しかし、「能力が高い」と評される方々は、一般的に競争社会を勝ち抜いてきた人たちです。
幼少期から他人を思いやることばかりしていたら、おそらく今のポジションにはいなかったでしょう。

子供の頃から他人を思いやりつつ、勝負所では競争相手を蹴落とすような器用な子供はいません。
(ごく稀にそのような子供がいるかもしれませんが、希少だと思われます。)
ということは、人格とは、人生経験を重ねながら、後から育てるものだと思うのです。

誰しも、自分の心の中に、「利己の心」と「利他の心」は同居しています。
いかに、「利己の心」を抑え、「利他の心」を増やしていくかを心掛けることが重要なのだと思います。
(わたし自身はまだまだ「利己の心」を抑えることをできていません。)

話を稲盛氏に戻します。

実は、JALをV字回復させた稲盛氏が、最初にやったことは、幹部社員の人格を矯正することです。
立派な戦略を考えたところで、その基盤となる人格がなければ、経営は上手くいきません。
それゆえ、幹部社員を集めて、ただひたすら「人間として正しいことをする哲学」を共有したそうです。

高学歴な人ほどプライドが高く扱いにくいので、JALの幹部社員の人格を矯正するのは、
かなり難度が高い所業だったと思われます。
未だ完遂できているとは思えませんが、あの業績回復を見る限り、それなりに上手くいったのでしょう。

稲盛氏が伝えたかったことは、テクニックだけでは会社経営は勤まらないということです。
これはサッカーや野球に代表される、スポーツチームの監督も同様です。
なんらかの集団を率いていくためには、「能力」ではなく「人格」の方が重要なのです。

テクニック(能力)のある人がリーダーになると、一時は業績回復するかもしれませんが、
永くは続きません。その理由は、メンバーの気持ちがついて行かないからです。
なでしこジャパンの監督は、見るからに「人格者」です。だから勝てたのだと思います。

しかし、この「人格」を磨くことが、最も難しい「所業」であることは言うまでもありません。
この終わりの無い「人格形成」という所業は、永遠に続きます。
必要以上に負担に感じず、楽しく継続していきたいものです。
 

「動機善なりや、私心なかりしか」