経営用語の中に「スピンアウト」と「スピンオフ」という言葉があります。
どちらも広義においては、一部の事業を諸事情により本体から切り離すことを言います。
しかし、狭義においては少々異なる意味合いがあります。
「スピンオフ」が元の企業との関係において、関係継続の上で分離・独立することですが、
「スピンアウト」は元の企業との関係を絶って分離・独立する点です。
要するに、前者は友好的ですが、後者は敵対的ともいえるでしょう。
また、前者の場合は、本体側がある事業をリストラしたいがために、
その事業に見切りをつけて、「あとは勝手にしなはれや」という感じだと思います。
よって、切り離される部門にいる社員の方は、どちらかというと受け身のケースが多いはずです。
後者の場合は、血気盛んな社員がいて、自分たちで独立した方が得だと判断し、
有志を募って独立するケースが多いので、受け身ではなく攻めの一手だと思われます。
ただし、こちらのケースでは、元の企業側から提訴されるリスクはあるでしょう。
しかし、ゼロから新しい事業を起ち上げるリスクと、元の企業からの提訴リスクを比較すると、
一概にどちらが高いとは言えないと思います。
よく入社前に「退職後3年間は会社と競合する業種に就かない」と誓約書にサインさせられますが、
規制の対象となりうるのは、「企業機密を知り得る立場にある者」に限られます。
(一般社員には全く関係の無い話なのです。)
そもそも、日本国憲法において「職業選択の自由」が定められています。
「職業選択の自由」とは「基本的人権」の一種であり、日本国憲法第22条で定められています。
⇒「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
既存のビジネスを継承しつつソフトランディングできるメリットを考えれば、
元の企業から受ける提訴のリスクがあったとしても、トライしてみる価値はあると思います。
(とはいえ、極力提訴のリスクは減らすことをお勧めしますが・・・)
ちなみに、映画にもスピンアウト企画というものがありますが、
こちらは経営用語ではなく、“キャラ立ちした脇役”が“主役”になる映画のこと。
具体的には「踊る大走査線」の『交渉人 真下正義』『容疑者室井慎次』や「デスノート」の『エル』など。。。
一般企業においても、キャラ立ちした脇役がどんどん主役になれば良いのですが、
なかなか現実の世界では上手くいかないものですね。
ちなみに、私はそんな「スピンアウト」に対しては賛成派です。
大企業の庇護の元、一生脇役で終わるのは嫌ですからね~・・・
これらの話は医師の世界にも当てはまると思います。
うまく基盤が引き継げるのであれば、勤務医から開業という選択肢もあるのでは?
ただ、最近は開業される医師の数は減った気がします。(不景気ですからね)
事は慎重に進めましょう。
P.S.残念ながら弊社においては開業相談は取り扱っておりません。
悪しからず・・・