情報源は複数から、リーズナブルに

先週は重大な経済ニュースが目白押しでした。
為替は月曜日にNY市場で1ドル76円台前半の超円高に突入。
東京市場でも初の76円台をつけたのが水曜日のことで、
木曜日にはついに日銀の円売り介入が行われて、ドルは一時、80円台まで戻します。
そしてその日の早朝ですが、
日経新聞が報じた日立と三菱重工の経営統合のスクープには驚かされました。
週末には日経平均株価は震災直後以来となる9300円割れ。
世界同時株安の様相を呈する中、格付け会社のS&Pがアメリカ国債を格下げしたと伝えられたのが、
日本時間で土曜日の朝のことです。
震災関連や国内政治のゴタゴタやらで、ずっと経済関係のニュースはナリを潜めていた感じでしたが、
ここにきて、経済がアツいですね。
しかも、どれも現在進行形な話です。週明け、日経平均はついに9100円割れからの出発ですし、
他のそれぞれの話題についても次の展開がありますから、
当面の間、何かよほど大事件が起きない限りは、ニュースは経済ネタが中心になりそうな気がします。
中でも面白かったのは日立と三菱重工の経営統合の話でした。
実現すれば世界最大規模の総合インフラ企業が誕生ということで、日経新聞はスクープを狙ってきたんです。
東京最終版まで記事の公開を温存していたらしいですね。日経電子版にアップされたのも朝の3時でした。
実際、4日朝はテレビやネットのメディアまでが、日経新聞の記事を追いかける形でこの話題を報じていましたし、
他紙の紙面に載ったのはその日の夕刊になってからというわけです。スクープ大成功、といったところでしょうか。
だから、僕が住んでいる鎌倉で入手したこの日の日経新聞には、日立・三菱重工の記事は載っていません。
都心部の皆さんが持っている上の写真とはまるで違う内容ですね?
つまり地方都市に出回ったこの紙面は、いわば”捨て駒”のようなものですが、
真ん中やや下には、「日経電子版、100万人突破」という、
何やらPRのような記事がちゃっかり載っています。
読めば、「日本経済新聞 電子版」の登録会員数が100万人を突破したとのこと。
「電子版なら、記事の地域的な格差はなくなります」とはさすがに書いてありませんが(笑)
国内報道サイトの登録者数としては初めてのことだと自慢げです。
新聞社としては、記事の独自性を打ち出すのと読者の取り込みに躍起なんですね。
このことを知り合いの金融関係者に話したら、彼は仕事場ですべての新聞の最新記事が利用できるので、
個人として日経新聞はとっていないとのことでした。
なるほど、金融マンは早起きして日経新聞を隅から隅まで目を通すというイメージは、もう過去のものなんですね。
それでも、考えてみると日経新聞本紙の発行部数が300万部を超えるのに対して、電子版はやっと100万人。
しかも無料会員まで含めてこの数字ということですから、もともと日経新聞を購読していなかった人もこの中に入るわけです。
ということは、どんなに少なく見ても200万人以上の人が、いまだに紙媒体のみで日経新聞を利用しているということになりますよね。
僕にとってはこちらのほうが、ちょっとした驚きでした。
「日経新聞のあそこに記事が載っていましたよねー」と言われて、
「読みました!それで私はこう思ったんですよー」と返せればけっこう嬉しくて、
「えっ、読んでない(汗)」となるのはちょっとイヤだなー、
といったやりとりを日常的に行っている人たちが、まだそれだけいるということです。
根強い”日経信仰”、恐るべし日経新聞。
結局、”日経を読む”ということの意味はそこにあって、
同じ情報でも、一般紙やテレビからではなくて”日経で読んだ”ことが重要で、
その話のとっかかりを共有したうえで、ビジネスに必要なコミュニケーションに入っていく。
電子化が進む一方で、そうした雰囲気が残る限りは、新聞社もスクープにこだわっていくのでしょう。
ただ今回の日立・三菱重工の一件に関しては、ちょっとフライングすぎて
実際の両社の交渉に水を差したという見方も少なくないようです。
ちょっと前のサントリーとキリンのように、破談になったりしなければいいのですが…。
スクープから取り残されたから言うわけじゃないですけど、
僕らとしては、一つの媒体にこだわることなく、
複数の情報源からリーズナブルに情報を入手すればそれでいいのではないかと思います…。

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