日本人としての、負けん気を

まだまだ本格的な復興はこれからでしょうし、原発の問題も気にはなりますが、
停電が行われずに済んだり鉄道が徐々に通常どおりに走るようになったり、
首都圏での生活に関してはようやく震災後の一時的なショック状態から抜け出しつつある感じがしますね。
株価も震災前に10000円台をキープしていた水準よりはまだかなり低いとはいえ、
先週までのドタバタの状態は脱して、9700円台でやっと落ち着いてきているようです。
これには外国人投資家の積極的な買いが入ったことで暴落に歯止めがかかったのは事実で、
そのこと自体は、日本経済が立ち直るきっかけとしては確かに良い材料ではありました。
でもそれだけで日本の復興が見えたような気になっているようでは、いささか能天気に過ぎるのでしょう。
そう、それほど大量の日本株が安値で買われたということは、
これから日本が復興するにしても、その分だけ日本の富が外国勢に持っていかれることになるわけです。
日本が立ち直るために日本の底力を信じて買ってくれたのだから、
それがどこの国の人であっても関係ないといえばないと割り切るという考え方もできますが、
でもやっぱりこの国の一員としてというか住人として、僕ら日本人がこれまで営々と築いてきた富が
海外に流れて行ってしまうのは、なんだかすっきりしない気分です。
やや被害妄想的な言い方をすれば、またしても外国人にしてやられた、ということになりますかね。
多くの日本人投資家が狼狽売りをするのを尻目に、ぴかぴかのディーリングルームで
派手なネクタイを締めて高級な葉巻をくわえた外国人投資家が虎視眈々と買いの時期を窺っている…。
これは僕の勝手な妄想ですが、でもそんな様子を想像をしてしまうとつい、
負けるな日本、がんばろう、日本!と叫びたくなってしまいませんか?
そして、今回の激しい円高も、それが顕著でした。
FXの「くりっく365」3月の売買高は、2005年にサービスを始めて以来の過去最高を更新したそうです。
前月比50.8%増ということですから、慌てた日本国内の個人投資家が損失確定のために
泣く泣く売買を強いられた様子が数字からも窺えます。
震災が起きたのが金曜日で、その週明けの14日以降、ドル円は82円台で推移していましたが、
福島原発の深刻さが明るみになった16日の早朝に、シドニーで一気に76円台まで上がりました。
わずか20分の間に3円以上も円高が進んだ背景には、
ヘッジファンドの”ストップロス狩り”があったと言われています。
ストップロス狩りというのは、たとえば1ドル82円とか81円とかの状態にあるときには、
80円以上に円高が進んだ時点でロスカットしたいという人が大勢いたとして、
ヘッジファンドはそこを狙ってドル売り・円買いをしかけるんです。
それで1ドル80円を切るところまで円高が進むと、強制的なロスカット機能が発動しますから、
損失確定のドル売りが大量に出回り、円高にさらに加速がついてしまいます。
ヘッジファンドは十分に円が上がりきったところで一気に円売り・ドル買いを入れることによって
いちばんおいしいところを持って行く…。
それが、ストップロス狩りと言われる手法です。
震災後に円が高くなるという現象は阪神淡路大震災の時にも起きたことですが、
それでもここまでの円高を予想した人はおそらく誰もいなかったでしょう。
しかも、ぴかぴかのディーリングルームで派手なネクタイを締めて
高級な葉巻をくわえた外国人投資家(僕の勝手な妄想ですが)に、まんまとやられてしまった…。
うーん、
負けるな日本、がんばろう、日本!
写真
僕はといえば、幸か不幸か年末に痛い思いをして以来エントリーするタイミングを失っていたので
ポジションを持っていなかったのが救いといえば救いでした。
逆に、考えてみるとここが買いで入る絶好のチャンスでもあったわけですが、
やはり何かそういう気分にはなれず、もしかしたら感じなくてもいい罪悪感みたいなものにとらわれてしまいました。
そうしてモタモタしているうちにドル円は震災前の水準まで戻り、さらに
先週末の米雇用統計の発表で失業率が好転したことで、ついに84円台にまで進んでしまいました。
僕は中長期的には円安と踏んでいたので、躊躇せずに買いを入れておくべきでしたが、
もう遅いような気もします。
なんだかイス取りゲームでなかなか入り込むタイミングをつかめずに、
気づいたらひとりだけ取り残されてしまったような気分ですが…。
でも、ほんとうにやられっぱなしで日本の富がどんどん海外へと流れて行ってしまうのは、
やっぱり悔しいですよね…。
がんばろう、日本!
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