自分が”これは!”というもの

世界中から発せられているスティーブ・ジョブズ氏を悼むメッセージに、
氏の存在感の大きさを、あらためて思い知らされます。
これを機会にと思い、ジョブズ氏とアップル社の歴史を紐解いてみました。
アップル社の株はナスダックに上場されていますが、株価の長期の推移を見ると、なかなか味わい深いものがあります。
個人的にはこういう長期のチャートを見ると、つい自分史も重ね合わせてみたくなりますが…。
いや、ここはジョブズ氏とアップル社の話。
ざっと振り返ると、資本金1200ドルでアップルコンピュータを設立したのが1976年
(ジョブズ氏21歳、以下、ジョブズ氏の年齢を記します)。
往年の名機とされる”Apple II”が発売されたのが翌年の1977年(22歳)。
現在の”パーソナルコンピュータ”(個人向けに販売された完成品コンピュータ)としての原型がここにあるのだそうですね。
初めて知りました。
大成功したアップルコンピュータ社は4000人の従業員を抱える大企業にまで成長しましたが、
その後社内の将来のビジョンの違いから、当時の取締役から解雇にまで追いやられてしまいます。1985年のことです(30歳)。
そしてジョブズ氏が再び同社の暫定CEOに復帰したのが1997年(42歳)。
翌年にiMacを発売して業績は急回復(43歳)。急上昇した株価がそれを物語っています。
USBがの普及が一気に進んだのもこのiMacが契機になったということです。言われてみれば確かにそうでした。
見た目の斬新さだけではなく、驚くほどシンプルな接続にも僕らWindowsユーザーは度肝を抜かれたのを今でも覚えています。
2000年には正式にCEOに就任(45歳)。
この90年代後半から2000年代前半にかけては、ちょうど僕が出版社で仕事をしていた時期でしたが、
社外で接点のある人たち、つまり作家をはじめライター、デザイナー、印刷に携わる人たちは
ほとんど9割以上がマッキントッシュのユーザーでした。
逆に、社内事務などでPCを利用する僕ら一般人にとっては、
製品もそうですがソフトウエアもWindows版が出始めの頃の当時はやたらと高価だったり
ライセンスがむちゃくちゃ厳しかったりと、マック導入には敷居が高かったものです。
その点がまた熱心なファン心理をくすぐるようなところがあって、マックはお高く留まっているイメージが定着していました。
“マカー”と呼ばれる人たちの独特のプライドのようなものも、この頃に育まれたのではないでしょうか?
でも今にして思うと、アップル社がいちばん低迷していた時期のことだったんですね。
この2000年には、いわゆる”ネットバブル崩壊”に見舞われて株価も一時的に急降下しますが、
それをまるで意に介さなかったかのように、同社はこの後さらに急成長を遂げます。そう、音楽事業への進出ですね。
iPodとiTunesが同時に発表されたのが2001年で(46歳)、
iTunesのWindows版の無料配布が始まったのが、2003年(48歳)。
株価はちょうどこの時期から大ブレイク。それまでとは違う次元へと、激しく上昇を見せているのがよくわかります。
僕が初めてiPodを手にしたのは、その翌年、2004年のことでした(50歳)。
愛用していたMDウォークマンを使わなくなるのは名残惜しかったのですけど、
iPodが登場してほどなく、”これはどこから見ても勝ち目がない!”と悟ったのを思い出します。
おそらく多くの皆さんも、僕と近い時期に見切りをつけたのではないでしょうか?
後の祭りですが、この頃がアップル株のいちばんの買い時だったかなという感じです。
このiPodを買う決心をしたときに、もしアップル株も買っていたら…。なんて。
いまやアップル社の売上の半分以上を占める音楽事業ですが、でもこの時点では、
ここまで成長するなんて僕にはとても予想がつかなかったです。過去のイメージにとらわれてはいけませんね。
その後の発展は皆さんご存知のとおり。
2007年にiphoneの初代が発売されて(52歳)、同年、社名からも”コンピュータ”が外れ、”アップル”となります。
翌2008年にサブプライムショックの逆風にあおられながらも(53歳)
携帯電話の世界では今まさにスマホ革命が進行中…。
そして去年発売されたジョブズ氏のビジョンの集大成ともいえるiPadが(55歳)、
これからのパソコンの概念を変えようとしています。
こうやってジョブズ氏の生涯とアップル社(と自分)を振り返って見ると、
自分が”これは!”というものが世に現れたときには、
「もしかしたら株も買いではないか?」と、一瞬でも悩んでみる価値はあるのかなと、思ってみたくなります。
奇しくもジョブズ氏が他界する(享年56)前日に発表されたiPhone 4S(for Steveという説もあるようで…)、
みなさんにとって、”これは!”のインパクトはどの程度だったでしょうか?
ジョブズ氏の偉業に敬意を表して、ご冥福をお祈りします…。

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