先日、NHKのクローズアップ現代という番組で、吉祥寺南病院が閉院したという話題を取り上げていました。都心部でも病院の閉院が起こりうる現状の、病院が直面している現状をクローズアップするという内容です。見逃したかたはこちらで配信動画を視聴することができます。→2025年6月2日放送クローズアップ現代
ここ最近NHKで病院経営が厳しいという話題を五月雨的に放映しているのですが、このクローズアップ現代もそういう内容です。吉祥寺南病院に関しては、確かに赤字であったようではありますが、閉院の直接的な原因は建物の老朽化に対して対応ができなかったというとこです。
「都心部の病院でも・・・」というセンセーショナルなサムネイルが使われていますが、都内の病院で出てきたのは上述の吉祥寺南病院と同じ中央線沿線にある救急病院「河北総合病院」です。物価高に伴う人件費の高騰や周辺業者に支払う費用の増加で病院経営が厳しい、という内容なのですがこの2病院以外に出てきたのは地方病院で、確かにそこで紹介されている病院は経営難ではあったのですがその原因は物価高というよりも人材不足による診療体制が組めないことに起因していると感じました。
医療系人材の不均衡・偏在というのは私がこの業界に入った20年前からずっと言われていました。特に医師は地方で勤務を継続するインセンティブがとても少なく、また医師体制が整っていないところで勤務することがさまざまなリスクを増加させることもあり、人がいないところはますます人不足になるという悪循環に陥ってしまいます。
医師のキャリアという側面からこのことを考えますと、人がいないところでは教育の体制がままならない、という問題がどうしても出てきます。そうすると、これからスキルを得ようとしている専攻医〜専門医取得くらいのフェーズのドクターはどうしても就職をすることが難しくなってきます。専門医・指導医まで取得済みの医師のみしか採用の対象にならないとなるとそもそも就職予備軍の母数がグッと減りますし、また地方の病院に必要になりがちな労働強度が高めの馬力を求められる状況からするとなおさら医師の招聘が難しくなってきます。
冒頭で紹介いたしました「クローズアップ現代」では、基幹病院が抱える問題点を解決するためにはどうすればいいか、という問いにゲスト出演の識者2名がそれぞれ私見を述べてくれるのですが、一方は「診療報酬をあげること」もう一方は「病院の機能分化の推進」という意見でした。
医師転職を扱う業者としては診療報酬が上方修正されれば喜ばしい状況にはなります。しかしながら、今後持続可能な社会保障と健全な医療体制の提供がなされるためには医療機関が今よりも効率化していく必要があると考えています。上記識者の意見でいうと、機能分化された病院であれば医師求人においても募集イメージがとても作りやすく、求職者の医師に対しても募集意図や医療機関のイメージ、業務内容等の期待されていること・そこでやらなければいけないことをわかりやすく伝えることが可能です。自身がどう働くことになるかを事前に知ることができればミスマッチを減らすことにも繋がります。
求人を求職者に届けることが医師転職支援会社の使命です。求人を作成する際には我々もどうすれば求職者により伝わるのか、を意識して助言などできればと考えています。
最後に、冒頭で紹介した吉祥寺南病院は新しい医療法人のもと再出発することが決まっています。病院の建て替えも決定しているようで、3年後くらいにはなってしまうようですが、地域の医療を支えるために手をあげた医療法人には拍手を送りたいと思います。
医療ですので社会の公器という側面は強いですが、一方で健全な経営を行うことはとても重要です。今回は最後に、経営安定の大手法人で出ている求人を案内します。