医師転職において専門医資格の有無が話題になることがよくあります。「専門医を持っていると有利になるか」「条件面で優遇されるか」ということが気になる方が多いですが、回答としてもYESです。持っていて決して損になるものではないので、「取得しようかどうか悩んでいる」という方には、自分が考えている今後のキャリにとって大きなマイナスがないのであれば取るべきというアドバイスをすることが多いです。雇い主である医療機関側にとっても専門医の有無は宣伝をすることができますし、そこで働く医師にとっても自身の専門を対外的にアピールすることができるので、対患者さんにとっても良いアピールができます。
ではそのように有用な専門医資格ですが、なぜ取得に迷う、言い換えると取らないという選択肢がメリットであるという場合が出てくるのでしょうか。そもそも専門医とはどのようなものなのでしょうか。
専門医とはこのような定義をされています。
「内科や外科、小児科、産婦人科などよく知られた診療科において標準的で適切な診断・治療を提供できる医師のこと」※一般社団法人日本専門医機構ホームページより抜粋→https://jmsb.or.jp/ippan/
つまり、自分の専門領域においてはかなり詳しく・安心して治療を任せることができますよ、ということなのですが元々上述した「一般社団法人日本専門医機構」という組織ができるまでは専門医の管理(専門医資格の付与条件、更新、等)は各専門の学会が行なっていました。例えば、内科専門医は日本内科学会が、脳神経外科の専門医は脳神経外科学会がそれぞれ認定をしていました。それぞれの学会で基準を持っていて統一された基準がなかったのですが、そのバラバラの基準をわかりやすくしようということで第三者機関である日本専門医機構が運営をする新専門医制度が2018年に発足しました。
新専門医制度のもとでは日本専門医機構が一元管理をしていて、専門医取得希望の医師(専攻医)の管理から専門医取得、専門医の管理まで管理をしています。今まで各学会が管理していたものを一元化したので、どの科目でも概ね同じ流れで専門医取得までのキャリアを積むことができます。
この一連の流れを私たち医師求人専門の紹介会社から見ると、職業選択の幅は狭くなったと感じざるをえません。
最も大きな変化は、専攻医として働くことができる病院がごく少数に限られてしまったということです。科目によりますが、例えば整形外科などは大学病院や大きな公的病院で専門医を取得する以外の可能性がかなり低くなってしまった科目です。民間のある程度大きな病院でできていたことができなくなってしまったことで、実質的に若い医師がハイボリュームセンターに集中してしまいます。これは地域差による医師の偏在も助長する可能性があります。
そして専門医を産む機関が集中するということは一般的な民間病院での専門医数は相対的に減少していきますので市場価値としては高くなっていきます。医師を招聘するには医師が望む環境をより多く叶えることができる医療機関が選ばれます。多様な症例であったり、医療環境、立地や金銭的な条件ですが、民間病院で用意できるのは環境と雇用の条件がほぼ全てです。これはその医療機関の経済力に依存していますので、お金のある医療機関に医師が集まる、ということがより顕著になっていきます。
もちろん、それが悪いことだは言いませんし、経済力やヒューマンリソースに応じて各施設の役割をより鮮明にしていくことがこれからの医療機関に求められる経営の舵取りであることは間違い無いのですが、やはり医師の紹介会社を長く続けている身としては選択肢が狭くなっていくことに寂しさを覚えます。
人材紹介会社は資産をあまり持たない会社が多く、財産といえば登録いただいている人材、医師求人や転職にまつわる個々のノウハウ、そして非公開求人をはじめとする多種多様な求人群です。どれが欠けてもうまく業務は回っていきません。
この大きな要素のうち、医師求人、による競合他社との区別・差別化が今後難しくなってくることを鑑みると、医師転職市場における紹介会社の役割も総合的には大手に集約され、中小は大手の手が回らないニッチなエリアに住み分けされていくのかもしれません。
とはいえ、JMCではまだまだ多様な求人を扱っています。自分の市場価値が知りたい、具体的に転職を考えている、という方はぜひホームページから求人を探してみてください。