先週のことですが、久しぶりに日本国債の格付けがニュースになりました。
格付け会社といえば以前、ムーディーズとS&Pについてここで触れたことがありました。
でも今回発表されたのは、そのどちらでもない、
フィッチ・レーティングスによる格下げということです。
僕はこの会社のことはあまり詳しく知らなかったのでちょっと調べてみますと、
フィッチというのはムーディーズ、S&Pと並ぶ、格付け会社の”ビッグ・スリー”。
米国市場ではこの3社でシェアが約95%にも上るのだそうですね。
(ちなみに前回紹介したウォーレン・バフェット氏は、ムーディーズの筆頭株主です)
フィッチ・レーティングスは本社がロンドンとニューヨークにあって、
親会社であるフィマラックS.A.がほとんどの株式を所有。
このフィマラックS.A.というのは本社がフランスのパリにある金融持株会社で、
傘下の企業はフィッチ・グループと呼ばれています。
設立は1913年のニューヨーク。この年は、
メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースが誕生した年であり、
FRB(アメリカの中央銀行)が設立された年でもありました。
そしてフィッチが格付けを始めたのが1927年。
リンドバーグが大西洋横断無着陸飛行に成功し、
映画に音声が同期した「トーキー」が初めて上映されたのもこの年のこと。
日本では昭和2年といえば金融恐慌で東京渡辺銀行が破綻して取り付け騒ぎ事件になり、
芥川龍之介が35歳の若さで服毒自殺した年です。
そんな時代から格付け事業をビジネスとしてやっていたなんて、ちょっとした驚きですね。

同社のサイトから、サービスの案内の部分を見てみましょう。
いやあ、僕にはいったい何をやってる会社なんだかさっぱりわかりません(笑)
これをご覧になって、この会社がやっている事業を
具体的なイメージを持って理解できる方がいらっしゃるとしたらすごいと僕は思います。
フィッチの日本国内の事務所が開設されたのは1989年。
金融庁の指定格付け機関に登録されたのは2010年ですからまだ2年前の話ですが、
こうやって僕らのような一般人には良く分からない世界で仕事をしている人たちが
ひとたび日本国債の格付けを1ランク下げるとなると、
それが世界中の金融関係者に影響力を持って伝わるというのは
すごい世の中になったんだなあというふうに思ってしまいます。
ところでぜんぜん関係ないのですが、
ひょんなことから、僕は隣町の合唱団の練習に顔を出すようになりました。
団員20名ちょっといるその男声合唱団は、いま秋の発表会に向けて週に1回、
毎回2時間~5時間もの練習に取り組んでいまして、
僕もその練習に参加するようになってもう1カ月近くになります。
結成からもう40年以上も続いているということもあり、
なるほど、中心メンバーはほとんど60歳以上のシルバー世代です。
先日初めてその合唱団の懇親会に参加させてもらいました。
その日は4時間の練習が終わった後で、その場に折りたたみのテーブルを広げて
それぞれに自宅から持ち寄ったつまみや酒を広げて楽しむ、手作りの宴会です。
合唱団の宴会は、歌で始まります。
これまでいちばん多く歌ってきた歌、という乾杯の歌、
“Vive la compagnie”(仲間に乾杯、といった意味)。
これが実に心地よく響くんです。
そして1時間ほど歓談して、良い感じに酔いが回ってきた頃に、
団長が”そろそろやりますか”といって歌集を全員に配り
ア・カペラで何曲か歌ううちに夜は更けてゆくのでした。
その声の響きたるや、なんともいえない、
柔らかい帯のようなものでぐるぐると体を包み込まれるような感覚に、
僕はすっかり取り付かれてしまいました。
目を開ければそこにいるのはたしかに還暦、はたまた喜寿の方々。
こんな美しい声をいったいこの中の誰が出しているのだろう?と思うのですが、
誰が出しているというわけではなくて、複数の声が響き合うことで
その場の空気が信じられないような美しい振動のしかたをするんです。
そこで指導の先生がよく、練習のたびに団員にこんなふうに語りかけます。
「みなさんは大変良い資産をお持ちなのですから、それを十分に生かしてください」
資産というのは、もちろん”声”のことです。
人の声というのは、いくら年齢を重ねても、鍛え方しだいでは
衰えるどころかずっと成長し続けることができるのだそうです。
資産といえば金融の世界はどんどん複雑化していって
一般的な生活や皮膚感覚とはどんどんかけ離れた方向へと進んでいきますが、
生身の体も、大切な資産のうち。
僕はその日、それを体で感じることが出来て、何か勇気付けられた思いがしました。
ちなみにフイッチで思い出したのですけど、
離婚についてのポータルサイト(そんなものがあるんですね)「リコナビ」によりますと、
離婚理由の1位は性格の不一致なんだそうです…。
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