税金のかからない給与は存在する?

税理士が医師と税金についてさまざまな疑問にお答えします。

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税理士が答える医師と税金について

第2回 税金のかからない給与は存在する?

Q

病院で医師の求人をする際に、福利厚生などについて工夫することで、勤務する医師が有利となる取扱いがあるでしょうか。

A

一般的な話として、住宅手当を支給すると所得税と課税されるのに対して、会社で社宅として借りて、従業員に借りた金額よりも安く貸すという形にすると、会社側で同様の負担をしていたとしても、給与として課税されないという事例があります。他にも、非課税となる経済的利益がいくつかありますので、有効に活用すると求人の際に有利になるかもしれません。

1.給与所得とならないもの

給与明細の中で、諸手当がついているケースがありますが、いろいろな名目の手当がありますが、通勤手当以外は、所得税が課税されるケースがほとんどです。国税庁のホームページによれば、以下のようなものについては、所得税の対象とならないケースが存在すると紹介されているので、上手に活用してみましょう。

手当

  • 電車・バス通勤者の通勤手当
  • マイカー・自転車通勤者の通勤手当
  • 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
  • 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの

現物給与

  • 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
  • 創業記念品や永年勤続表彰記念品を支給したとき
  • 使用人に社宅や寮を貸したとき
  • 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
  • 金銭を低い利息で貸し付けたとき
  • 使用人に住宅を取得する資金を貸し付けたとき

詳しい内容については、下記でご確認ください。

http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2508.htm

2.車両手当を使用料に置き換えるなどの手法

従業員の自家用車を仕事に利用させるようなケースがあります。その際に、車両手当として手当を支給しているケースと、車両の使用料を支払っているケースがあります。

手当とした場合は、基本的には課税の対象となります。それに対して、車両の使用に伴う実費を使用料として支払う契約にすれば給与としての課税は行われません。ただし、使用料を受け取った従業員側では、使用料の受取金額とそれに対応する必要経費の差額部分が所得を構成することになります。しかしながら、必要経費相当分を請求する仕組みとしておけば、結果として所得は生じませんから課税されないことになります。

これは、携帯電話の使用料などでも同様です。携帯手当など、給与に乗せる形にすると、課税されると考えられますが、携帯の使用料のうち仕事で使った部分を実費精算するという形にすれば、所得税の課税対象とはなりません。

また、借り上げ社宅の場合と同じように病院側で車両を購入して、従業員に適正な金額で貸し付ける、あるいは、携帯電話の契約をして個人使用分を徴収するなどの手法も、従業員にとってはメリットが生ずるかもしれません。

現物給与については、恒常的に利用できかつ金額的にメリットがあるものは、社宅の活用です。求人をスムーズに行うためには大きな要因となるでしょう。

税理士 飯田聡一郎

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