第1回 確定申告が必要な場合でも年末調整は必要なのでしょうか?
勤務医をしているドクターのJさんは、主な勤務先以外に、週に一回非常勤でアルバイトをしています。このような場合は、確定申告が必要となるので、年末調整は不要でしょうか。
Jさんの場合は、確定申告は必要となりますが、だからと言って年末調整をしなくて良いわけではありません。下記、国税庁のQ&Aの問2を見ていただいてもわかるように、確定申告を行う人でも年末調整をしなければならないという決まりになっています。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2013/pdf/91-92.pdf
もう少し具体的には、下記のようになります。
年末調整の対象となる人 | 年末調整の対象とならない人 |
次のいずれかに該当する人 | 次のいずれかに該当する人 |
(1) 1年を通じて勤務している人 (2) 年の中途で就職し、年末まで勤務している人 (3)年の中途で退職した人のうち、次の人 1. 死亡により退職した人 2. 著しい心身の障害のため退職した人で、その退職の時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人 3. 12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人 4. いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる場合を除きます。 (4) 年の中途で、海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人をいいます。) |
(1) 左欄に掲げる人のうち、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人 (2) 左欄に掲げる人のうち、災害により被害を受けて、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税の徴収猶予又は還付を受けた人 (3) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人や、年末調整を行うときまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(月額表又は日額表の乙欄適用者) (4) 年の中途で退職した人で、左欄の(3)に該当しない人 (5) 非居住者 (6) 継続して同一の雇用主に雇用されないいわゆる日雇労働者など(日額表の丙欄適用者) |
年末調整の対象となる人については、所得税法で年末調整を行うことが強制されています。よって、確定申告をする場合でも、いったんは年末調整を受けることになります。ただし、生命保険料控除など各種控除については、確定申告の際に受けることも可能ですから、勤務先に扶養控除等申告書を提出して、最低限の年末調整を行う形でもよいでしょう。
税理士 飯田聡一郎