すぐに病院を辞められないのでしょうか?

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第1回 すぐに病院を辞められないのでしょうか?

Q

次の転職先の病院から1日も早く来て欲しいと言われています。ところが、今の病院との間の雇用契約書には「退職は3カ月以上前に申し出ること」と記載されています。すぐに辞めることはできないのでしょうか。

A

現在の勤務先があなたの希望、例えば1週間後に退職したいなどという希望を受け入れてくれれば、その希望する日に退職することができます。労働者の意思による雇用契約の解除(退職)には合意解約と辞職の二つタイプがあり、このように相手の承認を得て行うものを合意解約といいます。一方で相手がその希望を受け入れてくれない場合は、3ヵ月間も待たなくてはならないのかということですね。

期間の定めのない雇用契約の場合は、いつでも解約の申し入れをすることができ、この場合、雇用契約は2週間経過した日に終了します。(民法第627条)。相手の合意や承認は要りません。このように一方的な意思表示によって雇用契約を解除することを辞職といいます。

しかし、期間の定めのある雇用契約の場合はまったく異なります。期間の定めのある雇用契約は、原則として、途中で契約を解除することができません。ただし、やむを得ない事由があるときは、直ちに契約の解除をすることができます(民法第628条)。この場合の「やむを得ない事由」とは、病気やけがなどでしばらく働けないというような重大な理由をいいます。現職が嫌になったとか、次の就職先が決まったとしても、これには当たりません。

やむを得ない理由もなく勝手に辞めた場合であって、これにより相手が損害を被ったときは賠償責任を負うことがあります。ただ、使用者(病院や企業)は雇用契約に付随してあらかじめ決まった違約金を定めることができないため、裁判において実際に損害を回避する努力をしたことや具体的に生じた損害を証明しなければならないので、このような賠償請求はほとんど提起されていないのが実情です。

だからといって、簡単に現職を勝手に辞めてしまうことを奨励しているわけではありません。今後のキャリア形成や患者さんのことも考慮し、現在勤務されている病院に事情を説明し、退職の時期について折り合いをつけて円満に退職できるよう最善の努力をされることをお勧めいたします。

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