相続税へは、早めの対策を

生命保険は3種類しかない、という話を先月ここで書きました。
すべての保険商品は、定期保険、養老保険、終身保険の3つのうちのどれかが基本になっているという話でした。
定期保険は、いわゆる掛け捨ての保険。
保険期間が終わったら、キレイさっぱり何も残りません。
万一のことが起きなかった場合は、払ったお金も返ってきません。
養老保険は、積み立て保険などとも呼ばれる、貯蓄型の保険。
毎月コツコツと積み立てていったお金は、死亡するしないにかかわらず、満期になったら返ってきます。
資産運用という意味では、この養老保険がイチ押しという話をしました。
それで最後の1つ、終身保険はというと、その名のとおり死亡保障が終身(死ぬまで)続く保険です。
先日知り合いになった保険のプロであるkさんが力説するところによると、
とくに相続税対策として、威力を発揮する商品なのだそうです。
僕の知人が以前、親からの遺産相続のときに相続税で大変な思いをしたと言っていたのを思い出して、
kさんにその話をしたんです。
知人が親から引き継いだ一戸建ては、世田谷の駒沢大学駅から徒歩3分のところにあります。
今の日本の相続税は、税率が激しく累進的になっていることをご存知の方も多いと思います。
国税庁が作ったパンフレットにそれが記載されているので、見てみましょう。
ご覧のとおり、3億円以上の遺産を子が相続するには、
ざっくり言って半分近くを税金として納めなければならないわけです。
(配偶者免除などの制度があるので実際の率はもっと低くなりますが)
彼の父親が亡くなった時の遺産は、土地と建物とを合わせた評価額がぜんぶで4億ほどになりました。
参考まで、同パンフレットには遺産の価額と実際の相続税の例が載っていますので、
これも見ておきましょう。
いかがでしょうか?
万一のことがあったとき、お子さんに負担をかけるようにはなってはいませんか?
僕の知人が課せられた相続税は結局、なんと数千万円に。
おとなしく現金で納めるか、それができないとなると、
生まれ育った家を売却しなければならないといった事態に陥ってしまったのでした。
資産家ならではの悲劇です。
彼は今でも父親が残した世田谷の実家に住んでいるのですが、
そのために、貯めてきた貯金を取り崩したりあれこれと生活を切り詰めたりと、
見ていてかわいそうなくらいです。
僕が説明を終えると、kさんは残念そうに言いました。
「それはそれはお気の毒様でした。もし私に相談されてたなら、そんな思いはなさらずに済んだのに…」
そして終身保険のメリットを滔滔と僕に説いてくれたのです。
まず僕の知人のように、遺産が不動産だけの場合は遺族でこれを分けるといっても無理な話です。
それが、終身保険に入っておくことによって受取人を複数として設定することができるわけです。
また、遺族が受け取る保険金は、相続税の面でも優遇されているのです。
他の資産とは違って、法定相続人ひとりにつき500万円までが非課税で受け取れるのです。
さらに、契約者を子や孫にしておいて、保険料を親から子に贈与する、といった方法もとることができます。
生前贈与と呼ばれるこの対策は、贈与税の非課税枠が年間ひとり110万円までですので、
10年間で一人あたり1100万円を無税で子や孫に移転することができます。
そして、受け取る保険金は相続税ではなく、より税率の低い所得税で済むというメリットがあるのです。
とまあ、ざっと見ただけでも相続税対策に終身保険を活用すると税制上、
有利なことがたくさんあることがわかります。
あえて不利(というか厄介)な点を挙げるとするなら、
やはり終身保険は保険料が高いということです。
各社の相場は、たとえば35歳男性で死亡保障2000万円、60歳までに払い込みを済ませるとなると、
ざっくり、月額4万円台。
これが、45歳の契約だと月額8万円近くにまで跳ね上がります。
相続税対策をお考えの方は、早めに手を打たれることをお勧めします…。
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