たんす預金

年の暮れも、いよいよ押し詰まってまいりました。
クリスマスから年末に向けて、なんだか街中が気ぜわしく
ラストスパートをかけるこの時期。
僕はふだん人の多いところは苦手なのですけど、
多くの人が、わりと目の届くところにある共有するタイムリミットに向けて、
人それぞれに、大切なものとか背負っているものとか、
なにやらかにやらに追われて一気に生活の回転速度を上げる。
そんな景色が楽しめるこの時期の街の雰囲気だけは、けっこう嫌いじゃないです。
来年のクリスマスが今から待ち遠しいです(笑)
さて。年の瀬らしいニュースが目に入ってきました。
  2011年末に人々の財布や企業の金庫の中などに保有されたまま、年を越す日本銀行券
  (お札)の総額は、前年末より2%多い83兆9968億円となり、2年連続で過去最高を更新
  した。日銀が30日発表した。
  日銀が市場に多くのお金を供給する金融緩和策を拡大する一方で、一般家庭では、超低金
  利のため現金を銀行などに預けずに家で保管する「たんす預金」が増えているためとみられる。
  景気の先行きが不透明で、企業が急な出費に備え、手元に置くお金を増やしていることも理
  由のようだ。
  (2011年12月30日22時27分  読売新聞)
すごいですね。”たんす預金”が過去最高を更新、約84兆円とのことです。
84兆円…。
そうです。”兆円”という単位が出てきたら、お札を積み重ねたイメージをするのでした。
僕はこの場でそのことを紹介して以来、”兆円”と聞いた瞬間に、もう無意識のうちに
アタマの中に1万円札を積み上げてできた柱が思い浮かびます。習慣というのは恐ろしいものです。
1万円札は、積み重ねると1億円で厚さ1メートル、1兆円で厚さ1万メートルになりますから
84兆円だと84万メートル。万進法だとピンとこないですね。840kmです。
慎重に計算しなおしても、これは84kmではなくて、840kmなのです。
僕はこのお正月に故郷の札幌へ帰省しますが、羽田から千歳までの直線距離が約820km。
つまり空港から空港までを1万円札でできた柱でまっすぐに結んだとしても、82兆円です。
しかも、これはあくまでも全部1万円札とした場合の話。
現実には、1万円札だけではなくて千円札も相当数が出回っているでしょうから、
そうなると、僕の住む鎌倉から地元の札幌までの直線距離は約880kmも、
十分、”お札の橋”で結ぶことが出来るのではないでしょうか?
そこでちょっと気になったのですが、1万円札と千円札ではどっちが多く出回っているのでしょう?
日銀のサイトでは、現在出回っているお金の、種類別の流通高を調べることができます。
                                                                                        (単位:億円)

まだ11月までのデータしか反映されていませんが、これによりますと、
全部で約84兆円のうち、日銀券(お札)が79.5兆円ほどで、残りの約4.5兆円は貨幣で流通しているとのこと。
それでその79.5兆円の内訳をこの表から読み取りますと、
 1万円札…約72.7兆円
 5千円札…約2.7兆円
 2千円札…約0.2兆円
  千円札…約3.6兆円
ということになります。
これをお札の額面で割ると、枚数が出てきます。
 1万円札…約72.7億枚
 5千円札…約5.4億枚
 2千円札…約1億枚
  千円札…約36億枚
  (合計…約115億枚)
金額としてはもちろん1万円札がダントツに多いですが、
枚数でみてもやはり1万円札が多く、次に、その約半分ほどが千円札なんですね。
ということは、84兆円が全部1万円札だとしたら84億枚(840km)で済みますが、
実際に今流通しているお札を使って積み重ねていくとしたら、115億枚(1150km)ということになり、
鎌倉からだと札幌を通り越えて稚内あたりまで届いてしまいます。
まあどっちにしても、すごい量のお札です。
さらに、これに4.5兆円分の貨幣も加えたものが、いま日本で流通しているすべてのお金、
ということになりますが、だんだんどうでもよくなってきたので、今回は紙幣までにしておきます。
貨幣がどのくらい出回っているかを詳しく知りたい方は(そう多くはいないとは思いますが)
日銀のサイトへどうぞ(笑)
もちろんたんす預金ではお金は決して殖えません。
しかも、もし仮に世の中が急激にインフレへと転換してしまった場合は、
たんす預金だと逆に価値がどんどん減っていってしまうということだけは、
頭の隅に置いておいたほうがいいでしょう。
とはいっても、ニュース記事にもあるとおり、これは超低金利時代という世相をよく表した結果です。
インフレもそうですが僕らは目に見えないリスクを多く抱えているわけで、
目に見えないリスクを気にし始めたらキリがないというのも、ひとつの考え方かもしれません。
少なくとも、盗まれたり、燃えたり、流されたりといった現実的なリスクというのは
その多くは頑張れば自分で何とかコントロールできそうな気がします。


運用、というと殖やすことを前提に考えてしまいがちですが、
目に見えて手触りのあるものを手元に置いておいて、少なくとも”減らない”という安心感を得る。
これもまあ、運用方法のひとつということなのでしょう。
…ことし最後の更新も、”お札の厚さネタ”で締め括らせていただきました。
それでは皆さま、よいお年をお迎えくださいませ…。
※当ブログの目的は、投資に関する話
題の提供であり、投資勧誘ではありません。
また、記載した情報はweb上で公開されているものですが、実際に投資される際には
あらためてご自身でご確認ください。
投資はあくまでもご自身の責任と判断でされるようお願い致します。