危機には、とにかく分散を

先日、友人の紹介で、ある資産運用会社のファンドマネージャーの方(Tさん)とお会いして
話を聞く機会がありました。
その会社が定期的に出している投資家向けのレポートがあるのですが、
今後もっと一般人向けにわかりやすいものにしていこうという方針になったとのこと。
それで一般投資家が読んだ感想を聞きたいということで、
友人伝いに僕にも話が回ってきて、同席させていただいたというわけです。
ちょうどその日はギリシャでのドタバタがいよいよ佳境に入って
どこのニュースでもギリシャ問題をトップで扱っていたのですが、
Tさんは、ユーロの設立当初からずっと、ユーロが本質的に抱えるリスクを指摘してきた方なのでした。
実際、3年前に発行したレポートには何と、「ユーロはあと3年で崩壊する」といったことが書かれていたんです。
まさに今ユーロ圏で起きている騒動についても、とくに驚くには値しないときっぱり言い切っておられます。
曰く、ユーロはそもそも複数の国家の寄せ集まりが運営しているので、分裂するリスクが非常に高い、
これは制度そのものの重大な欠陥であると。
ご存知のとおりユーロはEU加盟国を中心に23カ国で使われているヨーロッパの統一通貨で、
1999年に導入されて以来、ユーロ圏の金融政策は日本でいうと日銀にあたる欧州中央銀行(ECB)が一手に担ってきました。
しかし実際に必要な資金は結局、加盟各国の財政に頼ることになっていて、
Tさんの指摘によれば、ここに国家間の齟齬が生じることで、ユーロはたちまち分裂の危機にさらされるというのです。
統一された金融政策に対して、それを支えているのが、各国バラバラの財政政策…。
ユーロは設立当初から、この本質的な矛盾を抱えたまま現在に至っているんですね。
世界経済がうまく回っているときは問題ないものの、加盟国のどこか1カ国でも景気後退や政情不安が起こると
どうしても黒字国が赤字国の分まで負担するという構図になってしまう。
そのような状態を続けるのは、各国の国民感情が許さないというわけです。
今のギリシャがそうですし、ギリシャの次は、すぐそこにイタリア、スペインが控えています。
現実として、いま最大の黒字国であるドイツ人のなかに、
ギリシャを救済しようというような奇特な考えの人は、ほとんどいないのだそうです。
自分たちの落ち度で借金まみれになった国を、何で俺たちが救わなければならないのか?
となっちゃうのですね。確かにその気持ちはわからないでもないです。
国が借金まみれになったという点では日本も同じですが、
それが国内で完結しているか他国も絡んでいるかというところが、大きな違いということですね。
それでこのユーロ危機は、これから一体どうなるのでしょうか?
Tさんにお聞きしたところ、
年明け頃にも”ユーロ発の金融大恐慌”が始まる可能性は極めて高いと、ハッキリ断言されていました。
「なんだかんだ言ってギリシャは何とかなるんじゃないかと思っている人も多いようですが、
YUKIOさん、ギリシャは何ともなりませんよ。99%アウトです」
ただ、ギリシャをすぐに潰せないのは、ギリシャを潰してしまうとその影響力で他国までがとばっちりを食う、
それを防ぎたいためだけに、仕方なく潰せない。そういう状況まできているのだと。
ではどうすれば良いかとなると、誰も答えを持っていない…。
どの国の中央銀行も、ノーベル賞の経済学者でも、そして、かのジョージ・ソロス氏さえも、わからない。
ただどうなっていくかを見守ることしかできない。そんなことを、熱っぽく語っておられました。
以前、ソロス氏の引退について触れたことがありましたが、
Tさんもやはり、ソロス氏はこのあまりの危機的状況から身を引いたのだろうという見方をされていました。
先生方のなかで、ユーロ建ての商品で運用されているかたはいらっしゃいませんか?
Tさんのアドバイスに従うならば、とにかくこういう危機には資産を分散させるしかないとのことです。
ユーロ建てなら早めに解約するか、すべてとは言わないまでもせめてその一部を、
ドルやスイスフランや円など比較的安全な通貨に分散させておいたほうが無難だと。
まあドルやスイスフランにしたところで(もちろん円もそうですが)、
このご時世、必ずしも安全とはいえないわけです。
分散は通貨や金融商品にとどまらず、不動産や絵画や宝石なども含めて広く考えておいたほうが良いのだそうです。
とにかく分散、というところが肝なのですね…。
※当ブログの目的は、投資に関する話題の提供であり、投資勧誘ではありません。
また、記載した情報はweb上で公開されているものですが、実際に投資される際には
あらためてご自身でご確認ください。
投資はあくまでもご自身の責任と判断でされるようお願い致します。