払った分は、取り返す

先日、ある集まりで保険の代理店をやっている方(Kさん)と知り合う機会がありまして、
世間話から仕事の話まで、あれこれといろんな話をしました。
保険というと僕は今まで掛け捨て以外のものを買ったことがなくて、
保険商品を選ぶときにはあくまでも純粋に保険としての機能を比較検討の材料にするべきだと思っていたので、
話の流れが保険に関わる内容になったときに、そのような話もしたんです。
営業の口車に乗せられてあれもこれもと必要のない特約をつけたりすると、
毎月の保険料がやたらと高くつく印象がありますよね。
保険は家と並んで多くの人にとって生涯もっとも高価な買い物のひとつ。
月々の支払いはたかだか2、3万とナメてかかってはいけません。何十年も払い続けると、
支払う総額は千万円単位になってしまうのです。
いわゆる貯蓄型の保険で満期がきたらどーんと返ってくるようなものも、僕はどうも胡散臭く思っていました。
結局、毎月支払う定期保険の保険料に加えて、さらによくわからないおカネを毎月毎月支払って、
しかもその運用まで保険会社に委ねてしまうというのが、養老保険といわれる商品です。
でも僕みたいにずぼらな人間は、何事もできるだけでシンプルでわかりやすくしておきたい習性があって、
保険は保険、貯蓄は貯蓄、投資は投資と、切り離して考えたほうがすっきりするのです。
Kさんにこんな話をすると、彼は次のように切り返してきました。
「YUKIOさん、それじゃあ参考まで、ちょっとクイズです。
YUKIOさんが生まれたときに、同じ年に生まれた人を全国で100人選んだとして、
その人たちのうちで、YUKIOさんが60歳になったときにまだ生きているのは何人いると思いますか?」
僕は自分が60歳になったときのことを想像してみてから、
小学校のときのクラスの友だちの顔を何人か思い浮かべました。
まだだいぶ先の話だなあと思いつつ、それまでにいろんなことあるだろうな、
その頃までみんな元気にしてるのかなあ、でも全員無事というわけにはいかないかもしれないな、
などと考えを巡らせた後に、「半分?いや、60~70人位は生きてるでしょうかね?」と言ったんです。
みなさんの感覚ではどの位でしょうか?
するとKさんは、してやったりといった笑顔を浮かべてこう言いました。
「残念でしたYUKIOさん、100人いるうち、実は90人以上。
男なら91人、女性だと95人がまだ生きているんですよ。
意外と思うかもしれませんが、人間ってけっこう死なないものなんですよね…」
僕の想像力はあまりにも素朴すぎて的外れでした。それにしても91人というのは確かにすごいです。
たとえば小学校のときのクラスが40人だったとすると、60歳になったときに同窓会をやろうという話が持ち上がったとして、
連絡がとれて都合さえ合えば、クラスの2~3人を除いて出席可能なはずというわけです。
医学の進歩が目覚ましい成果を挙げてきたことを実感しますね。
同時に、長寿大国日本、超高齢化社会という言葉がドサッと僕の中に降りてきました。
このあたりのことは厚生労働省が毎年算出している”簡易生命表”という資料に詳しくて、
10万人あたりの生存数などの数値が公表されています。
                                          厚生労働省「平成22年簡易生命表」より作成
上の表はそれをもとに作成したのですが、見ると、60歳の男性の生存数は9万1282人。
100人あたりに直すと、確かに91人です。
保険という観点からすると、たとえば掛け捨ての保険を買ったとしても、
自分が60歳までに死ぬ確率は1割にも満たない…。
つまり保険金を受け取れる可能性は、1割もないということになります。
では支払った保険料はどうなるのか?
もちろん、保険会社の収入となります。
掛け捨ての定期保険は、9割以上の人がただ生命保険会社におオカネを貢いで終わり、
ということを繰り返していることになりますね。
「悔しいと思いませんか?」
Kさんは勝ち誇ったような顔で僕にたたみかけます。
「せっかく長期間コツコツと支払ってきたのに、それがみすみす全部保険会社の懐に入るなんて、許せますか?」
僕は保険というものはそういうものだとこれまでは割り切ってきたつもりですが、
このように挑発されると、なんだか悔しくなります。
次回、それを取り返す方法を、探ってみたいと思います…。

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