予測しない

今回の円高では、ヒドい目に遭いました…。
7月8日の米雇用統計発表で80.6円までドルが下がったところまでは想定の範囲内でしたが
その後の雪崩を打ったようなドル安は、まったく予想がつきませんでした。
今月初めまでは多くのエコノミストが、円安を予測していたんです。
「日経ヴェリタス」に週替わりで掲載されている為替予測を振り返っても、
78円台のしかも前半にまで円高になると予測していた人は、この1か月間では誰もいませんでした。
 6/19付 第一生命経済研究所 熊野英生氏 「向こう1カ月、1ドル=79~82円で推移しそう」
 6/26付 みずほ証券投資情報部為替アナリスト 鈴木健吾氏 「今後3カ月、1ドル=79~84円で推移しそう」
 7/3付 明治安田生命保険運用企画部チーフエコノミスト 小玉祐一氏 「向こう1~2カ月は強含みで推移するだろう」
 7/10付 SMBC日興証券国際市場分析部市場分析課長 松本圭史氏「今後3カ月、1ドル=80~85円で推移しそうだ」
チャートから感じる「気分」のようなものも、円安の予測を後押ししていたような気がします。
次の図は7月8日までのドル円のチャートですが、これを見る限りだと、
震災の超円高があり、その反動で一度戻した後にまたドルは底値近くをしばらく低迷し、
そしてようやく大底を打って、これからゆっくり立ち上がっていく…。
今見ても、なんだかこれからドルが上向いてくるように見えてしまう雰囲気があります。
もちろんエコノミストの予測は、僕みたいになんとなくそう思ったというものではなくて、
専門家として入手したいろんな情報や数字を分析した上で、プロとして予測しているわけです。
それでも当たらないのが、為替の予測。
週明けの7月11日以降を加えたのが下の図です。まさに梯子を外されたような急降下。
こんな円高を、いったい誰が予測できたでしょう?
FXで行うトレードのやり方は大きく4種類に分けることができて、
決済まで数カ月間にわたってポジションを持っているのがキャリートレード、
数日間で決済するのがスイングトレード、1日のうちで決済するのがデイトレード、
数秒から数分で決済するのがスキャルピングと言われています。
その中でもキャリートレード、スイングトレード、デイトレードは、
ふつう多かれ少なかれ予測をしてトレードに当たるのですが、
それに対してスキャルピングに特化して稼いでいるトレーダーの中には、
「予測しない」ことを極意にしている人もいます。
予測しないのにどうやって利益を出すのかというと、
スキャルピングとはそもそも「頭皮」を意味する”スキャルプ”から来ていて、
薄い皮を剥がす感覚で、ほんのわずかでも利益が出たらすぐに決済するという手法です。
僕は使わないのですが育毛剤には「スキャルプケア」なんて書いてあったりします。その”スキャルプ”です。
つまりトレードしている間は常に為替ボードの前に張り付いていて、
予測するのではなくて、刻々と変わる現実の相場をずうっと眼で追いながら、
すこしでも利益が出た瞬間、一瞬のタイミングを見逃さずに売買をする。
これは、反射神経とテクニックの勝負です。
そのためにはたとえばPCのメモリを増やすのはもちろん、キーボードの配列を自分流にカスタマイズしたり、
エントリー(新規注文)からイグジット(決済)までをいかに素早く行えるか、
1日30回×3セットとかメニューを決めて反復練習をしたりするのです。体育会系ですね。
さらに、2台のPCのマウスを両手で同時に操作すれば、
1回の利益はわずかでもトレード回数を2倍にすることで利益も2倍になる…。
こうした地道な工夫やトレーニングを積み重ねることによって、1日に100回、200回とトレードを行い、
“予測すること”のリスクを極力抑えることができるというわけです。
なるほど、たしかに予測しないで利益を出せそうな気もしてきますが、なかなか大変そうですね。
というか、かなりスリリングで体力勝負なゲームになりそうです。
時間と資金に余裕があり、しかも体育会系の気合と根性と体力の持ち主限定、という感じでしょうか…。

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