そして、チャイナリスク

中国からのレアアースの輸出が滞っていた問題で、
どうやら改善の兆しが出てきたとのニュースが報じられました。
レアアースはMRIの強力な磁場を作り出すところで使われているそうですね。
燃料電池や携帯電話をはじめとするいろいろな先端機器にも不可欠のようです。
それを世界で自国だけが9割以上を生産しているとなれば、
中国ならずとも、国家戦略として利用しない手はないです。
でもたしか当初、中国政府はこの問題についての関与は
否定していたはずだったと思いますが…?
今頃になって”税関への管理監督の強化”があったことを認めるような発言をするわけですから、
本当に中国の外交戦略は”虚々実々”という感じがします。
前回、人民元切り上げについてすこし触れましたが、
これも中国の国家戦略上の、まさに虚々実々の政治的な駆け引きが
繰り広げられてきたテーマですね。
人民元はリーマンショック以降のしばらくの間、自国の産業を守るために
事実上の固定相場制をとってきたわけですが、これはちょうど同じ時期に
円高が進んで国内の産業がますます厳しい状況に追いやられた日本とは対照的です。
チャートだと2008年半ば頃からの約2年間、ほぼ水平になっているところがそれです。
たしかに、ここだけ上昇が止まっているのは見るからに不自然な感じがしますよね。
この間、安い中国製品が世界中に出回ることで中国国内の経済成長が実現されて、
いまや中国人富裕層が世界中の観光地にあふれているのはご存じのとおり。
これにはさすがに海外の諸国からの圧力も強くなって、
人民元はことし春頃から切り上げがささやかれていました。
それがこの6月になり、ようやく中国側が、緩やかなレートの上昇を認めたわけですね。
ただ、切り上げ要請に応じたというほどではなく、実質的には
いまでも為替レートは中国人民銀行が1日の変動幅を基準値から上下0.5%以内に管理しているので
小幅な動きならまあしょうがない、受け入れざるを得ないですね、という程度のスタンスです。
でもその後も各国からの圧力は強まってきて、先日の米中会談でのオバマさんの様子なんかを見ると、
のらりくらりとした中国の政策ももうそろそろ限界に近づいているように思えてきますが
どうでしょうか?
中国国内でも景気過熱を抑制する方針が打ち出されていますので、
対外的にも国内的にも、いくら戦略国家・中国といえども
いい加減に潮時がきたのではないかと。
今の人民元を、1985年の日米プラザ合意直前の日本円と重ね合わせている人もけっこういるみたいですね。
なにしろ当時の円は、その後の3年間で1ドル240円から120円にまで急騰したのですから、
人民元にも同じことが起こるとしたら大変なことになります。
僕はそこまで期待するのはどうかとは思いますが、
まあそれでも、リスクを最小限にする中国投資という点では、たしかに人民元は”買い”かもしれません。
ただ、人民元での資産運用にはひとつ難点があります。
それは人民元が国際通貨として流通していないということです。
つまり中国国外で人民元の資産を持つには、現状だと
いろいろ制約を受けざるをえないわけです。
その不便な部分をちゃんと理解された上でなら、
人民元での運用もアリなのではないでしょうか?
いま日本国内で人民元建ての口座を開設する方法は、
中国銀行(岡山県にある中国銀行ではなくBANK OF CHINAのほうです)の在日支店を利用するか、
またはHSBCプレミアを利用するかのどちらかの方法しかありません。
ただ中国銀行のほうは、人民元建てでありながら、
定期預金の利息は国内の銀行と同程度(年0.45%)になってしまうので、
せっかくの中国の高金利の恩恵が受けられないんです。
そうなるとHSBCプレミアということになりますかね。
1年定期で2.25%もの金利はそれだけでも十分魅力的といえますし、
もしホントに人民元の切り上げが行われたとしたら…、
円に戻したときの利回りが楽しみになります。
こちらは最低金額が1000万円であること(下回ると月5000円の口座維持手数料がかかります)や、
中国国外で引き出せる金額に上限があるなどの制約がありますので、
そのあたりを十分踏まえておく必要があります。
いざ日本国内で使おうと思ったときに引き出せないのでは、
せっかく人民元で資産が増えたとしてもあまり意味がないですし。
それから、為替リスクもいちおう考えておく必要はあります。
人民元は実質的に米ドルと連動しているので、
極端な円高ドル安が進行した場合は
定期預金の利息に人民元切り上げを加えても
為替差損でチャラということだって、ありえない話ではないのです。
あと、ここで今一度、”チャイナリスク”を思い出しましょう。
中国のことですから、はっきり言って何が起こるかわからない部分はあります。
めったにありえないとは思いますが、たとえば、ある日気づいたときには
日本からの利用には法外な税金がかけられるようになってたりとか…。
いずれにしても中国への投資を考えるときは、経済だけでなく
国際情勢や政治の動向にも目を向けて、
どこにひそんでいるかわからないリスクにも
常に目を光らせておくくらいの気持ちで臨んだほうが良さそうですね。
為替はあっさりと83円を超えてきましたね。
僕はいちど決済してから、
83円16銭で引き続きドル買いのポジションを持ち続けています。
悪い流れじゃないと思いますがこのまま一本調子でドルが上げることは考えにくいので、
84円を超えたあたりで、売りも絡めながら行こうかと思っています。
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